内容説明
なぜ今「戦争と知識人」か。本書は、市民サークル「凡人会」による勉強会の「一日」の記録である。
目次
1 戦争と知識人(一五年戦争;『敗戦日記』をめぐって;日本浪曼派と京都哲学 ほか)
2 「ファシズム」と「科学」について―「戦争と知識人」1997年追記(「ファシズム」について;「科学」について;質問と応答)
3 私たちの「戦争と知識人」ノート(超越的価値の不在―高見順『敗戦日記』をめぐって;国家と個人―中野好夫の戦争「協力」をめぐって;思想と生活意識の乖離―日本浪曼派と京都哲学の場合 ほか)
4 「戦争と知識人」余聞―加藤周一先生を囲んで(「典型」としての『敗戦日記』;「閉ざされた」集団の「内」と「外」;個別と全体・作家と思想状況 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
leppe
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ピーター・フォークのエピソードが面白い。昭和天皇が彼に会いたいといったら、「先約があるから」と言って断ったという話。加藤によると、これは、「偉い人」からお誘いがあっても、先約があったら断る。なぜなら人間はみな平等なのだから、という考え方から来ているらしい。2016/08/23
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
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加藤の論考をその思想に従って「問題提起」→「検討」→「回答」という順に並べるとそれは大凡、「雑種文化論」(1955~1957)→「戦争と知識人」(1959)→『日本文学史序説』(1975、80)→「科学と言葉」(1979)という具合だ。加藤の思想は、この軸を中心に、その生い立ちを含めた加藤のキャラクターと文学観が渦を巻いている。その点、この本の意義は「戦争と知識人」という論考の位置づけが加藤自身の言葉でしっかり語られていること。(1)後は、小林秀雄、斉藤茂吉、永井荷風について話してるんで『序説』の補足に。2016/04/30