内容説明
「侵略」だと認識しつつも「やむをえない戦争」だったと考えがちな不透明な戦争観の中で、多様な免罪論・免責論を排しつつ重層する加害と被害、戦後世代の責任などを究明して現代歴史学の課題を提示する。
目次
1 戦争責任論の現在
2 日本近代史研究とオーラル・ヒストリー
3 「天皇の軍隊」研究の一視角
4 南京事件と国際法
5 敗戦前後における公文書の焼却と隠匿
6 極東国際軍事裁判と戦争責任問題
7 占領期における戦争責任論
8 日本の加害責任と広島・長崎
9 閉塞するナショナリズム
10 日本近代史をどうとらえるか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
9
1997年出版。この2年前には大戦終結50周年という節目の年で世界的な盛り上がりがあり、一方で世代交代による記憶の風化はとめどもなく進行。アジアでは日本の経済的なひとり勝ち状態が揺らぎ、逆に自信と実力をつけた近隣諸国からあらためて戦争責任問題を突きつけられ、その反動として「自由主義史観」が一世を風靡する。これ自体がすでに歴史となってしまった感あり。本書で示された戦争責任に関する論点はどれもアクチュアルなものだが、この四半世紀でほとんど深められぬまま煮詰まっているような…2023/07/07
W.S.
2
一章のみ読了。私を含めた純戦後世代は、先の戦争に対して、「罪責感」を抱く必要はなく、「責任感」さえあれば良いという言葉に、共感を覚える。と同時に、純戦後世代にも戦後責任があるということを広めるための重要な考え方になると思った。が、自信はあまりない…。2014/12/18