内容説明
百人一首は、タテ一〇首・ヨコ一〇首の方形のわくのなかに、百首をある特殊な順序で配列することによって、上下左右に隣り合うすべての歌どうしがなんらかの共通語＝合せ言葉によって全部ぴったり結ばれあうという、まことに奇抜な構造をもっている。著者は本書において、歌織物＝「言葉合せのジグソー・パズル」を解読し、同時に、なぜ定家がかくまで辛苦を払って至難の歌織物をつくったのか、定家をそこまで駈り立てた動機はなんだったのかという定家の心情、内面の問題についても解明した。
目次
第１章 百人一首は後鳥羽院哀惜の書―亡びゆく王朝時代への挽歌
第２章 百人一首は『歌織物』
第３章 歌織物を復元する
第４章 合せ言葉の原理
第５章 浮き出る絵は水無瀬の里
第６章 嵌めこまれた二組の贈答歌
第７章 定家と後鳥羽院―畏敬と反目
第８章 なぜ定家は百人一首をつくったか―その内面的動機
第９章 百人秀歌は公開用改訂版
著者等紹介
林直道［ハヤシナオミチ］
１９２３年、大阪市に生まれる。１９４６年、大阪商科大学を卒業。大阪市立大学経済研究所教授をへて、大阪市立大学名誉教授、関西勤労者教育協会副会長、経済学博士。著書は、『フランス語版資本論の研究』（１９７５年、第２回野呂栄太郎賞受賞）など多数
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感想・レビュー
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kurumi
2
定家が込めたメッセージ。言葉合わせのパズルで百首がつながるとは。なぜこれが採用された？という歌が入ってるのはそのため。おもしろかった。１０年ぶりくらいに再読。2018/12/15
N.T
2
700年の時を超えて水無瀬絵図を復元したのは殆ど奇跡に近い。あまり注目されないのは著者が国文学に関して門外漢だからかなぁ…2013/01/18
ayumino
1
寝食を忘れるくらい面白く、一気に読みました。百人一首に興味があって読んだのですが、一首一首というより藤原定家という人のパワーに圧倒されました。何重にも意味を織り込んで作り上げた百人一首という作品も驚嘆すべきだし、それを解明された著者の発想と執念にも、感服しました。百人一首は似た歌が多く、上の句と下の句がごっちゃになりがちと思っていたのが、似た語句を集めていたのか！と腑に落ちました。一気に読んだのですが、何度も読んで味わいたい本です。後鳥羽院や、承久の乱などこの時代についてもいろいろ読んでみたくなりました。2018/12/20
kinaba
0
『世界』の方がさすがに、後に出た分だけずっと整頓されているなあ。今から読む人には『世界』の方をおすすめしたい。こちらはあちらに対する"参考文献"の章的なドキュメントとして。2012/09/15
