感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
深夜
18
そのウイルスに感染すると、肉体は変容し、意識は遠い夢の中に閉じ込められる。大空を埋め尽くす無数の鳥たちによってもたらされたとされるその病を、人々は畏れを表し"セラフィム"と名付けた。未完の作品。最後は何とも歯がゆい場面で幕を閉じる。名監督2人の技量を以ってしても、扱いきれなかった物語なのだろう。製作者自身の手を離れ独自にその世界を構築させていく。それはさながら作中で語られる病原体そのもののようだ。物語の続きは、読者一人一人の内面に広がる想像力という名の巨大な病原体に託されている。2017/09/28
昼夜
17
Amazonで色んな本のページに飛んでいたときにタイトルが気になった。内容が深くて自分の言葉じゃ語れる気がしない。2011/12/18
allite510@Lamb & Wool
8
奇病「天使病」の蔓延、難民の急増、とその排除の挙句の国家封鎖、多くの人が見殺しにされ、虐殺された近未来。秘密結社化したWHOが封鎖されたユーラシアの深奥に奇妙な組み合わせの「三賢者」を送り込む。「パトレイバー2」直後の押井守が「一番大きな玉を投げた」と言ったという物語は、他の押井作品に比べても構えが大きく、込み入っている。この作品の後、名作を次々生み出す今敏の絵もどこか神がかったように見える。未完だけど面白い。未完だからこそかもしれないが。世界的な才能二人が到達しようとした地点は、永遠に未踏の地なのだ。2019/04/25
Utakata
8
「パプリカ」「千年女優」「パーフェクトブルー」でおなじみの今敏と「イノセンス」や「スカイクロラ」の監督押井守という日本を代表するアニメーション監督の共演。ユーラシア大陸の奥地で発見された奇病「セラフィム」は瞬く間に世界に広がり文明は衰退、各地で紛争や民族浄化などが横行する世の中になってしまった。鍵を握るのはたった一人、年を取ることのない女なのだが……なんとこの作品未完で終わってしまう。理由はあとがきに記してあるが、ストーリーも絵も細密に描かれ二人の力の入れ具合に圧倒された。読むにはかなり手ごわい漫画でした2014/07/02
斑入り山吹
6
このような話があったことを知らなかった。企画としてビッグすぎる。ビッグすぎるが故に頓挫したんだと思う。今氏の死が理由ではなく。話のあたまはもうすごく押井節だと思うんですけどね。話のモチーフとして、やっぱり天使はあまりにも色々と連想を結びつけ乗っけるものが多くて、半端な作家が手を出せるものではない。そこに意欲的に挑戦して、ほかにも思わせぶりなモチーフがたくさん。そりゃあ、読み手としては壮大に完結して欲しかったです。階段を上がる夢、ヤコブの梯子か？ところで、限定版があったの知らなかった、くやしー。2011/01/06
