内容説明
江戸は湯島天神裏の長屋住まい。天下の素浪人・間瀬重四郎のたつきの道は占い屋。天眼通天下一の看板につられ、訳ありの客がやってくる。当たる確率は五度に一度。ある日、両親の死後、長屋に引き取られてきた美少女おみつに不吉な印を観た重四郎。柳剛流の道場仲間・神尾左内と、おみつの働く煮売屋に足繁く通ってみるが…。剣の達人にして、心やさしい貧乏暮らしの新ヒーロー見参。
著者等紹介
池永陽[イケナガヨウ]
1950年愛知県生まれ。1998年に『走るジイサン』で小説すばる新人賞を受賞。2006年『雲を斬る』で第12回中山義秀文学賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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豆乳くま
10
天眼通で未来の事を占う生業の意外と剣豪重四郎が悩みを抱えて相談に来るお客の話。天眼通は五度に一度の確率でしか当たらないけどはずれも解釈違いと惜しい!飄々としてズルして用心棒したり、長屋のヒロインおみっちゃんに不意に不吉な影をみてしまい道場仲間とおみつの働く煮売り屋に入り浸ったりニンゲンくさい。話はどんどん物騒な方へすすむが重四郎の剣の腕は自分の今までの時代劇の概念を覆すものです。命のやり取りとはこの様なものなのでしょうか。結構ショックです。そうだよね、刀で切るってそう言うものなんだ。笑えて泣けるいい話でし2012/06/14
sena
5
ほのぼのした話かと思ったら。2014/06/17
あここ
2
軽~いノリで読みやすかった。意識集中させるとその人に関して何か見えるって能力を利用して占い屋さんしてるんやけど。あんまし当たらない(笑)ってゆうか見えたコトそのまま言うたらいいのに。解釈が間違ってるからハズレたように思われて。断片が見えても分からんよなぁ。まぁお客さんは悩み持ってはるし何だかんだで巻き込まれる。関わる人たちもユルい雰囲気で面白い。いつも暇そうな友、左内。とぼけた源内。3人とも強いのに何か軽い(笑)みんなの憧れ、おみっちゃんを守るのが筋なんやけど。ラスト急展開。当たるんだよねぇ。。天眼通・・2012/02/23
ぶ~よん
1
五度に一度当たる占い屋、天眼通を持つ素浪人であり、剣の達人である主人公の人情小説。救いがないラストに、何とも言いようがない感情に浸ってしまう。剣客物でもあるので、作中の死人がとても多い。色恋沙汰の話が多いが、江戸時代を描いた小説ってこんなのが多いですよね。何となく、現代社会よりも男女間の感情が開けっ広げだったのかなと想像してしまう。ただ、本小説の主人公は中々想いを寄せる女性に素直になれず、自分の気持ちに気付くのに時間がかかっている。いつの時代でも、不器用な人が損をするんですねぇ。2015/10/30
茶道具
1
5回に1回は外れる天眼通をもった重四郎がその力と優れた剣の腕をもって人を助ける、ちょっと笑えて情のある話。…というだけかと思ったら、時代物らしい時代物だった。緊迫感のある斬り合いがいい。女は怖いな。2012/08/15