内容説明
電車には、乗客の分だけ思い出があります。毎日乗る通勤電車や、時折乗る特急列車にも。愛も殺意も策略も、乗せて電車は走ります。殺人犯もトリックも、死体もあなたと走ります。極上の鉄道ミステリー集の本書も、一緒に持って電車へどうぞ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
45
【鉄道月間・22冊目】 鉄道ミステリには、なぜか男女関係のもつれや崩壊のテーマがつきまとう。この巻もその例にもれないのだが、テーマをどのようにアレンジさせていくかは、作家の腕の見せどころだろう。発表が幅広い年代にわたっているので、時代背景のちがいには、まごつくこともある。たとえば、天城一作品に「六十二年」と書いてあるが、国電ということば、寝台急行というタイトルから、昭和ではなく西暦と考えるべき。おもしろいのは、やはりアリバイ崩し。犯人と捜査官の熱い頭脳くらべである。本当は作者と読者だけど、そこはそれだ。2022/04/18
yamakujira
3
鉄道ミステリー名作館という副題の通り、どれ7編の鉄道ミステリの短編で、「葬送列車」という作品はない。7人の中で、天城一、雨宮町子という作家は初読みだな。列車内での殺人事件という定番なモノばかりじゃなくて、殺人事件が発生しない物語もあって、バリエーションが楽しかった。時代設定もバラバラだから、往年の鉄道事情も伝わって興味深い。「追憶列車」の逃げ場がない夜の雰囲気が、ミステリとは違う意味で味わいがあってよかった。 (★★★☆☆)2015/04/30