孤鷹の天

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  • サイズ B6判/ページ数 633p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784198630195
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

国を憂い、理想に殉じた若者たちの眩しいまでのひたむきさ。大学寮で学んだ仲間たちが、理想の国を作るため巨大な陰謀と戦う。政争や格差に立ち向かうことで成長する少年たちのドラマ。青春時代小説。

著者等紹介

澤田瞳子[サワダトウコ]
1977年京都府生まれ。同志社大学文学部文化史学専攻卒、同大学院修士課程修了。専門は古代史。『孤鷹の天』が初の小説となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さつき

68
奈良時代、大学寮で学ぶ学生たちを描く群像劇。四書五経にあるような理想の世を作るにはどうしたら良いのか?夢と現実の違いをまざまざと突きつけられながらも、挫けない姿。迷い苦しみながら、志しを見失う姿。そのどれもが胸に刺さります。道鏡に傾倒し仏法にのみ心を寄せる女帝。彼女を憎み権力に執着するあまり騒乱を起こす恵美押勝。水蛭子になぞらえられ淡路に流されてしまう淳仁帝。権力者たちの様々な姿を、優れた官吏たらんとする学生たちの目を通して見ることが新鮮でした。2019/02/25

巨峰

64
これが作者の第一作とは思えないくらいの読み応えがあった。恵美押勝から弓削道鏡の時代。その時代の大学生たちの視点からその生きざまを描く。奈良時代の話となると今とはずいぶん異なりなかなか想像するのが難しくて納得できる作品を作るのは難しいのに。この作品は登場人物のそれぞれがしっかり描かれており、それぞれに見せ場があるのが凄いと思う。蛇足ではありますが、史実によると、その後、磯部王は山於皇女と子を成し、その子孫は高階氏として栄えたのこと、その末裔は高氏直、氏泰。めでたい。2018/08/18

けろりん

50
木簡や、什器、小刀、鏃…。平城宮跡資料室に静謐また雄弁に展示されていた発掘品たち、そしてそれらを手にしていたであろう人々が、千古の眠りから呼び覚され、物語を紡ぎ出す。天平の御代、官僚への登竜門である大学寮に学ぶ斐麻呂と、奴婢の赤土。二人の少年の波瀾に満ちた半生が、激動の時代に躍動する。徳仁の世、民の安穏に利する政を希求し、命懸けで学ぶ者、権力に阿る者、被差別階級にあっても不羈の魂を持つ者。登場人物造形の妙。其々の心理、来歴が、政変・儒教的理念と仏教観の対立を絡め、鮮やかに描き出され、寸暇を惜しんで読了。 2020/05/29

ちろ

17
「若冲」を読んでファンになった澤田さんの処女作。すごく面白かった!633ページの大作だけど、最初から最後まで引き込まれた。世の中をよくしたいために真摯に学ぶ学生と師のやりとりをほっこり読んでいた序章から一転、権力争いに巻き込まれて追い込まれていくさまはしんどかったけど、信念を胸にそれぞれの居場所で立ち向かう姿にやり切れない気持ちでいっぱいになった。上信の最期と、最終章は感涙。そして赤土、かっこいい!2017/05/19

鬼山とんぼ

15
なるほど、これがデビュー作だったんだ。今、日経で連載中の安部龍太郎『ふりさけ見れば』と時期、登場人物が被るが、マニア以外知らない恵美押勝の乱、大学寮、道鏡に狂った女性天皇というレアな素材の組み合わせに奴婢上がりの貴族をぶっこんで、633Pの超大作に仕上げた。受賞にも納得。意欲作、力作であるのは間違いないのだが、出版社は困っただろうな。それで軽量紙の廉価版になっていて、まあお買い得ではあるな。ただ、後の作品でも苦言を呈した少年主人公に「ぼく」と言わせる文体が、歴史小説としての品格を傷付けているのが勿体ない。2022/08/05

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