内容説明
日本SFの先駆者記念作『海底軍艦』(明33)で文壇に躍り出た押川春浪の生涯は、天衣無縫、波瀾万丈。キリスト者の父をもちながら野球に没頭して明治学院を落第、生来の悪戯心ゆえの転校続き。だが早稲田に入るや矢継ぎ早に話題作を発表。酒を愛し、バンカラ精神に生きた春浪は、雑誌主筆に、作家活動に、野球振興にと八面六臂の大車輪、今世起の曙を駆け抜けた一代の熱血漢であった。日本SF大賞受賞評伝。
感想・レビュー
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もえたく
17
『いだてん』で武井壮さん演じる押川春浪の評伝。天狗倶楽部の創設者であり、日本SFの祖と言われる春浪のバンカラ精神で生きた波乱万丈な人生を、膨大な資料を元に描かれています。執筆だけでなく、永井荷風と遊郭で遊び、国木田独歩や田山花袋とも呑み、新渡戸稲造の野球害毒論に反論し有名だったとのこと。昭和63年日本SF大賞受賞作。著者は今月4日に逝去。天狗倶楽部が注目を集めているだけに残念です。2019/01/20
てら
3
まずこの本に日本SF大賞を与えたSF作家クラブに拍手。先ごろ物故した横田順彌に敬意を表して読了しました。丁寧な取材(どれほどの史料を使ったことか!)と平易な文章(これが一番難しい)で、38歳で早逝した破天荒な作家の見事な評伝になっている。「明治の人がなぜデビュー作でいきなり潜水艦に巨大ドリルを?」という『海底軍艦』への素朴な疑問もある程度解けました。大河ドラマでの登場に乗じて再刊を。2019/03/21
冬至楼均
0
労作。2014/04/13