内容説明
20世紀初頭、帝政打倒を叫ぶ革名党の動きが激化するロシア。首都ペテルブルクに駐在する海軍少佐・広瀬武夫は、日露開戦に備え軍事情報の蒐集にあたっていた。しかし公式身分のため表立った行動がとれず、政府は配下に民間人の北沢を起用する。北沢は過去を隠す謎の人物だったが、諜報活動は着実に成果を上げた。ある日広瀬は北沢と共に一人の革命家を訪ねるが、思いがけない殺人が起きる。長篇ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kanamori
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☆☆☆2010/10/10
sataz
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後に軍神とされる(日露戦争で戦死)広瀬海軍少佐のペテルブルグ駐在時に起きたロシア革命派の殺人事件。広瀬が担当するスパイ北沢が彼らから新造艦情報を入手しようとした時に、情報提供者が殺されてしまった。広瀬自身のロシア海軍少将令嬢アリアズナとの恋愛や、北沢の抱えるベルリンでの革命派女性との付き合い(彼女も死んでしまっている)などが配され、その時代をたっぷり感じさせてくれる。謎解きそのものにはあまり重きがおかれていないと感じるけれど、それを一つの芯にした展開は上手い。2012/10/14