出版社内容情報
350年の時を刻む老舗デパート『三越』
楽しいときも、悲しいときも
いつでも、むかえてくれる場所
物語の名手たちが奏でる6つのデパートアンソロジー
文庫オリジナル!
制服の採寸に訪れて感じたある予感。ライオンに跨る必勝祈願の言い伝えを試して見えたもの。老いた継母の買い物に付き合ってはぐれてしまった娘。命を宿した物たちが始めた会話。友達とプレゼントを買いに訪れて繋がった時間。亡くなった男が最後に買った土産。歴史あるデパートを舞台に、人気作家6人が紡ぐ心揺さぶる物語。
内容説明
制服の採寸に訪れて感じたある予感。ライオンに跨る必勝祈願の言い伝えを試して見えたもの。老いた継母の買い物に付き合ってはぐれてしまった娘。命を宿した物たちが始めた会話。友達とプレゼントを買いに訪れて繋がった時間。亡くなった男が最後に買った土産。歴史あるデパートを舞台に、人気作家6人が紡ぐ心揺さぶる物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
172
老舗デパート『三越』日本橋本店に行ったことなどないけれど、この包装紙は知っている。ロゴはやなせたかしさんということも何かで聞いたことがある。それはさておき、そうそうたる作家6名のアンソロジーを楽しく読んだ。それぞれに三越がちゃんと?堂々と?存在していた。350年ですって(!(驚)元々は「三井越後屋」という呉服屋さんですよね?『時ひらく』というタイトルが素敵だ。2024/02/29
馨
164
好きな作家さんだらけのアンソロジーだったので購入。三越にまつわる話でした。伊坂幸太郎さんの『Have a nice day!』が一番好きです。三越のライオンくんにまたがりたくなります。2024/04/07
hiace9000
147
1673年の創業以来350年、「日本橋三越」の重ね経た歴史が織りなす人気作家アンソロジー。短編紙幅で作品自体に説得力を持たせ、伏線配置と回収までを見事にしてのける手腕はさすが!の一言。中でも最も荒唐無稽なストーリーながら、長編でお馴染みの心地よい没入感で、見事に独自の世界観を堪能させてくれる伊坂作品は、もう圧巻。読後、自身未踏の三越日本橋店をネットで訪問。なるほど…これならこんな作品生まれること、さもありなんと納得。トリを飾る最終話、東野作品にはとっておきの湯川教授が登場。その編集まで、じつに素晴らしい。2024/04/15
あすなろ
115
昨年350年を迎えた日本橋三越。そこにタイムスリップの要素を加えて豪華な執筆陣が華を添えるという企画アンソロジー物。表紙は豪華な三越の時ひらくという包装紙模様。そりゃ読書好きはジャケ買いしてしまう憎い文藝春秋さんの一冊なのである。個性豊かな作品が一杯。僕は辻村氏の作品が断トツ良かった。辻村氏の少年の心理描写は涙すら浮かんできた。この作品を読了後、名古屋三越のライオンと暖簾を見、もうすぐ役目を終える我が街岐阜の高島屋をも我が幼き日を重ねて想い、GW前日の華やいだ街に出たのてある。2024/05/03
ひさか
114
オール讀物23年9,10月合併号辻村深月:思い出エレベーター、24年1月号伊坂幸太郎:Haveanice day!、23年8月号阿川佐和子:雨あがりに、7月号恩田陸:アニバーサリー、5月号柚木麻子:七階から愛をこめて、12月号東野圭吾:重命る(かさなる)、の三越350周年特集である6つの短編を24年2月文春文庫刊。三越と、そしていずれの作品も「時」がひとつのテーマになっているのは、そういう注文だったのか偶然そうなったのかはわからないが、うまく生かされていてファンタジックな運びになっているのが楽しい。2024/04/30