出版社内容情報
1964年、東京。肉体労働に汗を流し、喧嘩をして血を流す日々、おれは彼女と出会った。青春の夢と流転の日々を綴った熱血私小説。
椎名誠、待望の自伝的小説
1964年、東京。肉体労働に汗を流し、喧嘩をして血を流す日々、おれは彼女と出会った。青春の夢と流転の日々を綴った熱血私小説。
内容説明
1964年、東京。大学をやめ、肉体労働に汗を流し喧嘩に血を流す日々、おれは後に妻となる女性と出会った。1988年、タクラマカン砂漠。おれは猛烈な砂嵐のなかを、夢の場所・楼蘭を目指して歩いていた。あの日々は、この時につながっていたのだ。人生のクライマックスを描く、青春の輝きあふれる自伝的小説。
目次
第1章 砂漠と運河
第2章 汗と凍結
第3章 タイガの奥地
第4章 微笑と烈風
第5章 ダッタン人ふうの別れの挨拶
第6章 孤島への南下
著者等紹介
椎名誠[シイナマコト]
昭和19(1944)年、東京生れ。作家。吉川英治文学新人賞を受賞した「犬の系譜」(講談社文庫)、日本SF大賞を受賞した「アド・バード」など著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とし
17
『黄金時代』の続編にあたる椎名誠さんの自伝的な作品。読みながら、椎名さんはこのような青春時代を送っていたのかと驚き、感心しました。女性との恋の話、仕事、友情、悩みなど誰もが経験することを熱い気持ちで描かれています。スマートというより、汗が似合う男の小説という感じがします。また椎名さんの小説の特徴として、ビールとつまみが出てきますが、本作品もやはり出てきます。いつ読んでもおいしそうですね。こういうストレートな書き方も気持ちが伝わりいいですね。このような自伝的な作品はよく読んでいますが、続編を読みたいです。2015/08/11
蘭奢待
14
椎名誠さんの作品が好きでほとんど読んでいる。この私小説作品には椎名誠の人生がつまっており、かつ泣かされる。 学生時代からさかのぼり、やんちゃでケンカにあけくれる日雇い労働者時代、作家となり名をあげ、取材で世界各国に冒険旅行する時代。前者が時系列に描写され、後者が逆時系列にに描写される。その交点は妻。味わい深い作品。ロプ湖への夢が現実のものとなった時が人生のクライマックスであると振り返る。 自分の人生のクライマックスはいつであっただろうか。いや、これからだと信じたい。2018/07/22
時代
10
椎名さん若かりし頃を綴った私小説的な物語。いつものバカで元気でビールだもんねずんがずんがではなく真面目な感じ。大学を辞め東京オリンピック特需に湧く東京で日雇い肉体労働をしながら変わった連中とつるみ恋愛し時に暴力があったワカモノだったあの頃と、気が付けば駆け出しの売れっ子作家になり世界の果てを取材で巡り命の危険など省みず、でも留守を守る妻を気にかけ心配するあの頃が交互に綴られる。いつもと違うテイストが心地よい退屈を感じさせてくれました△2014/06/10
オイスター人間
7
椎名誠を初めて読んだ。「私小説」とあとがきに書いてあったが、秘境への冒険譚とともに「おれ」の生き方が描かれている。時間軸も舞台も、前後左右するような描かれ方で少し混乱する。あととにかく描写の一つ一つが粗野な「生」に溢れていて、そこに純朴な魅力を感じる。埃臭さや蒸しっぽさ、人がそこにいるという体温が読んでいるだけで伝わってくる。読み終わった後、物語全体に漂う、人生の切なさのようなものに、胸を締め付けられた。2016/02/17
はる
7
椎名さん得意の私小説です。20代、30代、40代のお話が入り乱れます。ぼーっと読んでるとよくわからなくなるときがあります。笑。個人的には20代のお話が面白いです。各年代の話しがラストで急速に繋がっていく展開はゾクゾクします。面白かったです。2014/07/19