出版社内容情報
東京湾で発見された若い女性と老人の遺体。事件の鍵を握るのは、老人の孫娘、黄金色の銅鐸、そして星月夜の美しくも哀しい記憶。
哀しみを抱いて生きる、すべての人々へ
東京湾で発見された若い女性と老人の遺体。事件の鍵を握るのは、老人の孫娘、黄金色の銅鐸、そして星月夜の美しくも哀しい記憶。
内容説明
東京湾で発見された、若い女性と老人の遺体。それぞれ身元は判明したものの、二人には接点が見出せず、捜査は難航する。事件の鍵を握るのは、老人の遺した孫娘、黄金色の銅鐸、美しくも忌わしい星空の記憶―。人々の抱える哀しみを、日本の原風景とともに描き出す、抒情派推理小説ともいうべき傑作。
著者等紹介
伊集院静[イジュウインシズカ]
1950年、山口県生まれ。立教大学文学部日本文学科卒業。1991年「乳房」で第12回吉川英治文学新人賞受賞。92年「受け月」で第107回直木三十五賞受賞。94年「機関車先生」で第7回柴田錬三郎賞受賞。2002年「ごろごろ」で第36回吉川英治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chimako
64
伊集院静は好きな作家。『星月夜』は作者らしいタイトル。伊集院静のミステリーを読みたかった訳ではなく、伊集院静の作品が読みたくて読んだ一冊。あちこちで酷評を目にするがミステリーを読み込んでいる訳ではないので意図するところが良くわからない。登場人物は確かに多く脳内整理では追いつかない場面も。しかし2人の年老いた男性の書き込みは作者らしくて胸に迫るものがあった。軽薄な若者たちの代表のように描かれた和也には一片の同情も無い。女は愚かでしたたかで底意地が悪い。けれど凛として勇ましく美しい。伊集院氏の短編が読みたい。2015/02/12
カピバラ
29
なんと、ミステリーだったのか・・・。おじいちゃんが孫娘を思う心にしんみりとなりました。2014/07/11
エドワード
14
東京湾で、岩手県から上京した少女と、島根県から上京した老人がロープで縛られた状態で発見される。二人の間をつなぐ関係が全くつかめない。少女の東京での足跡、鍛冶職人の老人が作っていた謎の物体、老人の孫娘と彼女の友人の考古学者の道行き、昭和四十年代に遡る山口県の高専の出来事。バラバラに語られる様々な事柄、何回も前のページへ戻る、推理小説の快楽だ。何となく考古学が鍵かナ、とにらんで、パズルのピースがはまった時の至福の瞬間。事件の発端は松本清張の作品に多いタイプだが、この手の謎解きは何度読んでも嫌いじゃないネ。2016/05/30
海(カイ)
14
読み終えた感想は、哀しかった。 推理小説はほとんど読んだことがないから、はっきりしたことは言えないのだが、単行本で読んだ方たちが言ってたよりは、嫌ではなかった。 むしろ人間味ある書き方なんじゃないだろうか?と思った。 やはり私は、伊集院静が好きなんだな、と思う。2014/06/17
かんちゃん
9
今や文学界の大御所となった伊集院静氏。 本作をあえてジャンル分けすれば“ミステリー”なのだろう。 しかし、登場人物一人ひとりの感情の起伏を細やかに描き切る筆力は、まさに大御所の名に相応しいものであり、ミステリーなどという詰まらない分類など全く無意味であることを悟らされる。 人生はとかく哀しみを伴うものだが、そこに寄り添う著者の目はどこまでも優しい。 さすが…というほかない傑作だ。2014/09/17