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文春文庫
玉蘭

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  • サイズ 文庫判/ページ数 388p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167602086
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

ここではないどこかへ…。東京の日常に疲れ果てた有子は、編集者の仕事も恋人も捨てて上海留学を選ぶ。だが、心の空洞は埋まらない。そんな彼女のもとに、大伯父の幽霊が現れ、有子は、70年前、彼が上海で書き残した日記をひもとく。玉蘭の香りが現在と過去を結び、有子の何かが壊れ、何かが生れてくる…。

著者等紹介

桐野夏生[キリノナツオ]
昭和26(1951)年、金沢生れ。成蹊大学法学部卒。会社員を経て、平成5年、女探偵村野ミロが主人公の「顔に降りかかる雨」で第39回江戸川乱歩賞受賞。平成11年、「柔らかな頬」で直木賞、平成15年、「グロテスク」で泉鏡花文学賞、平成16年、「残虐記」で柴田錬三郎賞受賞。平成10年に日本推理作家協会賞を受賞した「OUT」で、平成16年エドガー賞(Mystery Writers of America主催)の候補となった
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

354
上海での留学生活の描写をはじめ、物語の全編になんとも言えない陰湿さが伴う。個々の人間の持つ嫌な面が閉鎖的な日常の中に次々と炙り出されていくからである。女性の読者は必ずしもそうではないかも知れないが、私には主人公の有子に共感して物語に投入できなかった。かといって松村にも感情移入することはできないのだが。複数の主題を持ち込み過ぎたがためにわかりにくくなっていることも否めない。それが作家の意図だとも言えるが。ある意味ではシンプルな過去の物語と、複雑にしかなり得ない現在の物語が交錯する手法は賛否が分かれそうだ。2017/05/05

k5

75
定期的に読みたくなる桐野夏生。そして、決して外れることがない。東京での恋愛に疲れて上海に留学する有子と、戦前の上海で船員をしていた大叔父の質が交感する話、とか書くと安くなってしまいますが、「この世の果て」という言葉を軸にぐいぐい引きこまれます。こんな小説をどうやったら書けるのだろう、といつも嘆息するのですが、作家自身の大叔父の手記に着想した物語だそうで、あとがきにしっかり来歴が書いてますが、それでもこれは書けない。あと、篠田節子さんの解説がまた素晴らしいです。2021/06/19

キンモクセイ

50
東京での仕事を辞め恋人への一方的な別れの手紙を送ると全てをを捨て中国へと旅立つ。「私は新しい世界で何かを始めたかったのだ。新しく生まれ変わりたかったのだ。」今まで努力してきたことが無意味で馬鹿らしく思えてきた。突然、頭の中で男の声がした。月明かりの中に浮かび上がった若い男の姿。見た目は若いが彼は有子の大伯父の広野質だった。質は「新しい世界で新しい生活が始まるなんて幻想だ」と言う。有子の心の声を聞いて現れたのだろう。現在と過去が交差するストーリー。重く心に伸し掛かってくる。読中読後も気分が沈んでしまった。2022/03/03

chieeee-

40
少しSF色の強い作品。いつもの桐野作品とは少し趣向が違う。色々モヤモヤする日常の中で壊れていく人達。でも、人に選ばれたい、必要とされたいと思うのはいつの時代も一緒。もうどうでもいいと思っている人でも、そう思われる事で世界は変わる。上海に住んでいながらにして、日本人ばかりと集まっているところに、日本人のダメなところをみた気がしました。2020/06/20

crazy cool joe

39
留学先の上海の情景がちょっと昔のウォン・カーウァイの映画を見ているような感じで雰囲気が出ている。内容は芸術的で分かりづらい。自分も田舎者だから有子の都会での閉塞感は分かる気がする。面白かった。2015/09/21

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