文春文庫
乃木希典

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  • サイズ 文庫判/ページ数 169p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167593063
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0195

内容説明

旅順で数万の兵を死なせた「愚将」か、自らの存在すべてをもって帝国陸軍の名誉を支えた「聖人」か?幼年期から殉死までをつぶさに追い、乃木希典の知られざる実像に迫る傑作評伝。日露戦争開戦100年後に書かれた本書は、従来の乃木像をくつがえすとともに、「徳」を見失った現代日本への警告ともなっている。

目次

1 面影(マッカーサーが植えたハナミズキ;「有徳な人間」になりきること ほか)
2 国家(吉田松陰の「優しさ」;軍人になるか、学者になるか ほか)
3 徳義(「薩摩の娘ならば貰いましょう」;乃木夫妻の緊張関係 ほか)
4 葬礼(武士道よりも厳しい道;「徳」によって国民の信任を得る)

著者等紹介

福田和也[フクダカズヤ]
1960年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科卒業。同大学院文学研究科仏文学専攻修士課程修了。慶應義塾大学教授。文芸評論家として文壇、論壇で活躍中。93年『日本の家郷』で三島由紀夫賞、96年『甘美な人生』で平林たい子文学賞、2002年『地ひらく 石原莞爾と昭和の夢』で山本七平賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

春風

24
10年前に書かれた乃木希典の評伝。司馬遼太郎が精神主義者として、そして軍事面では愚将であるように造形したことから、一般的な認識がそのようなものなってしまっている。本書では、そうやって貶められた乃木希典像の再考を試みている。しかし、軍事面の考察は避けているので、司馬氏のそれと大きく逸れた評伝にはなり得ていない。ただ精神主義者としては、その人格者としての乃木を「立派な人物」として評価しているため親乃木の雰囲気が強い評伝だ。司馬があまり触れていなかったドイツ留学についてなどにも触れており、この点興味深く読んだ。2017/06/26

千加

19
善通寺市には「乃木うどん」や記念館がある。近くの金倉寺(ごんぞうじ)に「妻返しの松」とか。…でも知らなかった本当の姿。世間はデリケートな戦争関係の事は、公にしない。空海を教えるように乃木も教えるべきだ。弱い人間が、いかに有徳であるべきと生きた姿の彼が愛おしい。自殺も指揮官として人の命を殺めた事実も消えない。でも苦しんで戦争をした時代の上に今の私達がある。私は明治天皇も乃木希典(のぎまれすけ)も好きだ。🌿本の最後に「解説」があり、ここは重要。小説でなく、真実に近いであろう姿を知ってほしいから。🌿🌿2021/05/23

誰かのプリン

18
司馬遼太郎作品に登場する乃木大将は、何の戦略も持ち合わせない無能な指揮官として描写されているが、本書では、戦略を持たない指揮官能力には問題としていない。寧ろ下士官、兵には優しい一面を取り上げ徳のある指揮官として取り上げている。どちらが正しい見方なのか?他の著者の本を読まなければ。2020/03/20

ユウキ

12
この本を読む限り、乃木さんが「立派な人」だったかどうかはわからなかった。ただ、西南戦争以降、常に死地を求め続けながらそれが叶わず、さらに部下たちを幾人も幾人も死なせてしまったという悔悟の中で生き続けたことだけはよくわかった。そんな自分だからこそ自分自身を呪い、そして血のつながる身近な人にも冷淡でいられたのかもしれない。生き恥まみれと思い込んだ乃木さんは自ら描いたロールモデル「立派な軍人とはかく有るべし」といったものを生涯演じ続けた人なんだとおもう。その総決算としての殉死。何だか何もかも悲しい2018/02/04

長野秀一郎

12
「立派な人が、いない」とは書き出しの一文だが、私も同感である。現代も有能な人間は沢山いる。だが彼らは往々にしてブラック経営であるとか、あるいは婚外子が少なからず存在するとか、人間的に尊敬できる人物ではない。それらに対して乃木は、有能ではなかったかもしれないが情の人であった。戦死した兵には私費で家族を支援したり、公の場で謝罪する。本来であれば将ではなく王の器である。それを知っていた明治様が御孫たる昭和様の付育を命じたのも合点がいく。人には理も、情も必要なのだ。評価4+2017/06/11

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