文春文庫
モーダルな事象―桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活

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  • サイズ 文庫判/ページ数 605p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167580025
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

大阪のしがない短大助教授・桑潟のもとに、ある童話作家の遺稿が持ち込まれた。出版されるや瞬く間にベストセラーとなるが、関わった編集者たちは次々殺される。遺稿の謎を追う北川アキは「アトランチィスのコイン」と呼ばれる超物質の存在に行き着く…。ミステリをこよなく愛する芥川賞作家渾身の大作。

著者等紹介

奥泉光[オクイズミヒカル]
1956年山形県生まれ。国際基督教大学卒業。1986年、「地の鳥天の魚群」を発表して注目を浴びる。1993年、『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞を、94年、「石の来歴」で芥川賞を受賞。現在、近畿大学国際人文科学研究所教授。また積極的に音楽活動も行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

167
桑潟助教授シリーズ。もちろんクワコーぶりはそのままだが、本作だけ少しシリアス。謎の旧日本軍の研究所、アトランチスのコイン、ばらばらの伏線が繋がっていく。日本文学の将来を本気で案じているのか、名だたる文筆家が溶け合って繋がっていく幻想の姿が暗示的で面白い。ミステリーとしての面白さよりも昭和初期的なテイストと平成のテイストの融合された独特の世界が楽しめる。次作からカラーが変わったが、そちらにも別の面白さがある。

KAZOO

113
奥泉さんの小説は時たま読むのですが、純文学的なものがあるかと思うとミステリー色の強いものなど様々な分野ん挑戦しておられるような気がします。大学の先生が主人公でミステリーと思いきやユーモア的な感じもあったりでどのような分類なのかはわかりません。ただ最近の小説と比べるとものすごい文章でページがすきまなしの感じです。むかしの小説を思い出しました。大学関連ということで私も若干たずさわっていることもあり途中で投げ出しませんでしたが、人によってはやめる人もいるのかもしれません。2019/02/09

オーウェン

53
残された遺稿が発見された作家と関わりを持っていた桑潟幸一助教授。だがその編集者が謎の死を遂げる。これと並行して元夫婦夫婦の2人が事件を追う。シリーズとして続いていることからも分かるが、やはり桑幸のキャラが独特。駄目を絵にかいたようなキャラであり、ほとんど謎ときに関わっていない上愚痴ばかり。完全にユーモアメインであり、夫婦の方のミステリパートに沿って桑幸が不幸に巻き込まれていく。事件的には出てくるキャラが少ないので犯人は当てやすいが、かなり独特な世界観。見る人を選ぶ作品だが、桑幸には笑わせてもらった。2021/03/11

TATA

51
長かった、重かった。内容が千変万化していく流れに乗れないとなかなかツラい読書でした。さすがに流麗な奥泉さんの文章ではあるのですが、アトランチィスの謎のコインとか話が発散しすぎてて、でも読み飛ばせなくて。この流れで収まるのかと思えば何故か収束。大団円ではないけど、結局誰が主人公だったんだ?桑幸さんは被害者だろうしなあ。2020/02/21

めしいらず

51
奥泉作品は4冊目だけど、これには這う這うの体。面白くないのではなくて、この諧謔が滲み出るしゃちほこばった文章はむしろ大好物。一癖も二癖もある登場人物たちの本筋から脱線したやりとりが異様に楽しい。それなのに肝心の本筋に一向興趣をそそられないのはなんでだろう。俄か探偵が繰り出す不得要領な推理、現実とも夢とも妄想ともつかぬ展開、SF要素やホラーテイスト、文学趣味に私の不明晰な頭脳は終始混乱。三分の二超えたところで挫折。私の力量不足。すみませぬ。「鳥類学者のファンタジア」にはあんなに感激したのに。無念。2017/01/08

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