出版社内容情報
特派員としてハノイの古ぼけたホテルで生活する著者。戦争の傷痕さえ深々と呑み込んでアジアの闇を美しい文章で綴る随想集
内容説明
かつてハノイに、ホテル・トンニャットという「黙想の聖域」があった。熱と湿気とガラクタに満ちたそこを根城に、著者は闇にひたり、人の惰弱と強靭を見つつ、戦争と文明に思いを致し、永遠のアジアの息づかいを聞いた―。変わらざるベトナムの素顔を鮮やかに綴った、著者の原点となる随想集。巻末に日野啓三氏との対談を併録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hiratax
1
ハノイ/ベトナムをめぐる一冊。ホテルに投宿しながら、ラジオから流れる日本の歌謡曲に耳を澄ませる。辺見庸はこのあと小説を書く。新聞記者/ジャーナリストから小説家への過渡期/萌芽期を、海外、近くて遠いハノイという場所でチューニングする。行った人ならわかるが、ハノイは顔つきも気候も食文化もほとんど中国(人)である。ゆえに日本との近さを感じることもある。過去の歴史において中国の属国であったという関係性の類似ゆえ。2015/05/24
ダーミン
0
ハノイからはじまった東南アジア旅行中カンボジアのタケオゲストハウスに置いてあり、観光を中断し一気に読んだ。 自分が泊まった安宿や旧市街の街並みとリンクして、頭の中に風景が浮かびながら「辺見庸さんもあの場所にいたのか」としみじみした。 この本をハノイで読み返したい。2013/06/20
1192
0
読んでいて不快な箇所がなかった数少ない一冊。常温の軟水を飲む感じ。南国の湿度がリアルに伝わる。雰囲気がいい。面白かったかというとそうでもない。2015/03/21
i-O
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おもろ2009/03/07
イフル
0
トンニャットホテル、今のメトロポールホテル、ここにベトナム戦争時代特派員が滞在していた。ここがハノイの一番好きなところです2022/04/18