文春文庫
生きのびるからだ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 185p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167545192
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

死の淵に引き寄せられた日々を遠く離れた今、生きのびたわが身、自然に開かれたからだのしぶとさを知る。滋味溢れるエッセイ集。

内容説明

粛々と勤務医としての業務に従事し、休日は早朝から小説を書く。ときに山を歩き、自然にむかってからだを開く。一歩一歩、山の奥に分け入ると、自意識で凝り固まった「わたし」が木の香や風に溶けてゆく。「生きのびた」著者だからこその、読む者の身の内を温かく浸す、静穏ながら強靱な言葉の数々。滋味溢れるエッセイ33篇。

目次

老眼と白衣
浅間山
木を植える
野菜をもらう
おじさんたちの歌
書く修行
ガイドライン
歯をみがく
人間ドック
青い山脈〔ほか〕

著者等紹介

南木佳士[ナギケイシ]
1951年群馬県に生れる。現在、長野県佐久市に住み、総合病院に内科医として勤めつつ、地道な創作活動を続けている。81年、難民医療日本チームに加わり、タイ・カンボジア国境に赴く。同地で「破水」の第53回文學界新人賞受賞を知る。89年、「ダイヤモンドダスト」で第100回芥川賞受賞。「草すべりその他の短篇」で、2008年、第36回泉鏡花文学賞を、翌09年、第59回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

118
素晴らしいエッセイ集。自分の身の回りのことが静謐な筆致で描かれる。地に足の着いた生真面目な雰囲気が、たまらなく好きだ。作家と言うより一人の生活人として文章を書いている趣きがある。一番感動したのは、祖母のことを書いた「身の世話を受けた記憶」だった。母に死なれて、無力な存在だった作者が、祖母の世話を受けて成長したことが描かれる。南木さんの祖母は無口な人だったようで、何も言わずに、ただひたすら一生懸命に孫を育てそうだ。他者を存在を大切にする心は、この祖母から教えてもらったそうだ。これが南木佳士の原点なのだろう。2016/08/29

ホークス

37
元本は2009年刊。著者のエッセイは何冊か読んだ。本書では老いを意識し、そのお陰か自分を受け入れ始めている。芥川賞の翌年、38歳でパニック障害、その後はうつ病を抱えながら医師と作家を続けた。周囲からどう見えているか悩み、自分で自分を追及するのは自意識のためと分かっても解決しない。世間的に良い立場だとか、楽をしているとか、裁くほどに苦しみは深くなる。かなり明るい本書でも、グッと息が詰まる時があった。医師として老いを実感する場面が興味深い。身体が主で、思考は従。そう理解するのが自然な生き方につながるようだ。2023/03/24

寺っち

10
医師であり、作家であり、病人であった作者のエッセイ集。生きていることの奇跡や、自然への敬意、感謝など…読んでいて心動かされること多々。体を動かし、好きな事が出来ることえの感謝が出来る自分でありたいとこの本を読んで思った。2016/09/27

Ryuya Matsumoto

7
若い頃には読まなかっただろうと思います。体を壊して初めて言葉が沁み入りました。2020/11/28

southern

5
うつ病になったお医者さんのエッセイ。秋の日になんともしみじみ。他者に向けた養生訓ではなくて、ただひたすら ご自身の身に起こったことを見せてくれています。選ばれる言葉が綺麗で、しばらく読み漁ってしまう予感。2015/11/17

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