文春文庫
からだのままに

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  • サイズ 文庫判/ページ数 165p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167545161
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

五十も半ばを過ぎて、「からだ」「生」「愛する者」に向き合えば……医師・作家としての25年を語り、じんと心にしみるエッセイ集。

内容説明

パニック障害とうつ病に苦しんだ三十から四十代、人生の難所を越え、五十も半ばを過ぎてたどり着いた静穏な日々。息子たちは巣立ち、浅間山麓で妻、老猫と暮す。そんなある日、肺に異変が発見される…。医師・作家としての二十五年をふり返り、新たに己の「からだ」と向き合う日常を描き、読む者の身に優しくしみわたるエッセイ集。

目次

花の名前
大人呑み
滝の音
歩いてから読む牧水
稜線を泳ぐ
浅間山麓で書く
風邪の実感
休日の朝食
自作再訪
遅れて学ぶ日本史
信州佐久平に住む
業の深さ
舞台の上で―追悼若月先生
病んで出合った『流れとよどみ』
鮎釣り
石仏になる
老いた母
短い湯治
変容する「わたし」
からだ

著者等紹介

南木佳士[ナギケイシ]
1951年、群馬県に生れる。現在、長野県佐久市に住み、総合病院に内科医として勤めつつ、地道な創作活動を続けている。81年、難民医療日本チームに加わり、タイ・カンボジア国境に赴く。同地で「破水」の第53回文學界新人賞受賞を知る。89年、「ダイヤモンドダスト」で第100回芥川賞受賞。「草すべり その他の短篇」で、2008年、第36回泉鏡花文学賞を、翌09年、第59回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キムチ27

65
南木先生の作品は陰鬱というイメージが有った。だがこの作品は一味、空気が変わる。2004~周辺に綴られた心象風景という事で余りの多忙の心身が悲鳴を上げ 鬱症状・・・もがくうちに自分の在り様を見つめ直し、「生き直し」とでもいうのだろうか、そういった歩と結果を綴られている。元来、自然が好きな先生、信州の風景情景をたっぷりと描きつつ、水泳、山登り、そして日本史の学びを始められたことどもが。再読ながら、染みて行く文章。若月先生のことも触れられている。阿弥陀堂の敷地に鎮座する石仏・・姿が目の前に浮かぶ様な。2022/10/04

goro@80.7

60
色々なお医者さんがいるけど、重症患者さんを担当するお医者さんは心身ともに大変だ。書くことで昇華させていたけど自身も耐え切れずパニック障害、うつ病を患ってしまう。そんな南木さんが思ったことを綴ったエッセイ。同じような歳になってお山に登り出したが、無心になって(決して無心じゃないけど)からだを動かし続ける、歩き続ける、走り続ける、泳ぎ続ける事がとても必要な事に思えてきた。単純に右、左と脚を出していればいつかは辿り着く景色がこの上もなく愛しい。人の身に起きる事はいつかは自分の身に起きる事。また読み返す本です。2018/06/05

優希

43
パニック障害と鬱病を患いつつも、50代半ばを過ぎ静穏な日々へとたどりついたからこそ書けたエッセイだと思いました。自らと向き合うことで、私たちの心に優しく染み渡るのかもしれません。2023/11/14

ホークス

43
芥川賞作家で、長野県の病院で医師を務めながら執筆されている。末期がん患者に対する内、38歳でパニック障害を発病し、うつ病に移行して今に至る。本書は2004〜06年のエッセイを収録。死と向き合う日々が心をすり減らす描写に胸が苦しくなった。医師という仕事の危なさは、著者の指摘通りなのだろう。一方で本書には、苦しさを抱えた人や近親者を喪った人に寄り添い慰める力がある。又、50代の著者が老いを体感し、あきらめつつも前向きに迎える姿に勇気づけられた。歳をとる事が緩和や解決につながる問題もあるし、不要な情報は捨てよう2018/10/20

piro

39
著者がパニック障害、鬱病を何とか乗り越え、50代半ばを迎えた頃のエッセイ集。他のエッセイなどで語られている事柄もありますが、また少し違った印象を受けました。信州の山の清々しい空気、千曲川の瀬音に囲まれて、心の健康を少し取り戻した南木さんの達観した様な文章。何となく穏やかさを感じられる語り口で、一言一言が心に沁みてくるようです。この時から更に十年以上が経過した今、南木さんはどのような思いで信州の山々を眺めているのだろう。2023/11/12

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