文春文庫<br> 「ただの人」の人生

文春文庫
「ただの人」の人生

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  • サイズ 文庫判/ページ数 239p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167519049
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

現実で、または書物を通して毎日色んな人に会う。そんな日常の世界に潜む奥深い真実を著者特有の筆致でさらりと描く名エッセイ集

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

よし

5
漱石が朝日新聞社へ入社する時、大学を辞めて筆一本で生活ができるか、こと細かに検討していった経緯が述べられている。また、啄木が誰彼構わず、借金していったことや、妻と母との確執、さらに、家族すべてが結核に冒されていったことなど。作品を離れて、二人の日々の生活がいかに「ただの人」の人生であったか、驚かされる。関川氏本人の母との回想「家を壊す」や「高い竿」の章は、読んでいて物悲しい。「命の果てのその先の 以遠の旅の行く先は 北か南の地の底か はたちの母のふところか(堀口大学)」何か郷愁をさそわれるような一冊!2017/06/14

Voodoo Kami

3
今月の読書会課題本。明治の文士、昭和の論客、父、母、韓国のジャーナリスト、四国のドイツ人捕虜など、本エッセイ中で採り上げる人々に脈略はなさそうで、著者の視線に通底しているのは対象への共感・反感とは別次元の寄り添い方です。端正でクラシックな文章を読むといかに「いま生きている人が嫌い」かがわかるものの、過去を懐かしむわけでもない、雲の上から見物を決め込んでいるわけでもない。小声でぶつぶつ文句を言いながらも見るべきものを見ている。「家を壊す」での父、「高い竿」での母を見つめた文章がとりわけ刺さりました。2016/05/24

さえきかずひこ

1
過去の人々と、懐手のまま長話に興ずる作者の人となりがしみじみと伝わってくる随筆集。1991年から翌年にかけて『文學界』に連載された作品をまとめたもので、このあと近代日本文学の森にわけいって偉業をなす予感を十分伝える。小森陽一の熱っぽく的確な解説も良い。2012/03/17

つちのこ

0
単行本購入。1995年頃読了

ishii.mg

0
初出は91年。だけどガゼン面白い。谷口ジローと組んだ数多くのストーリーテラーとしての実力が小品にも生きている。どれもいいが一つ挙げるとするとやはり「ただの人」鮮于煇だ。昨今の日韓日朝の袋小路の猫の喧嘩みたいな関係ではなくお互いに目をそらさず語り合うことができた時代があったと想像する。といっても80年代はもっとむき出しの反日、日本は半島に対して嫌悪や悪意を隠して薄笑いで対応していたのかもしれない。美化もその逆もろくなことにならない。「ただの人」たれ。2019/06/28

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