出版社内容情報
今や日本のマンガは世界に誇れる表現手段なのだ。「ちびまる子ちゃん」から「沈黙の艦隊」までを縦横に論じ、マンガの可能性を示す
内容説明
マンガを蛇蝎のごとく憎むあなたにも、溺愛するあなたにも必読の書。マンガを読むのが恥だ、頽廃だといった紋切型の議論はやめにしよう。いまや日本のマンガが、世界に誇れる表現手段であることは確かなのだから。「ちびまる子ちゃん」から「沈黙の艦隊」までを縦横に論じ、現代日本マンガの可能性を探る。
目次
「女こども」がこわい―内田春菊『南くんの恋人』
スナドリネコの人生―いがらしみきお『ぼのぼの』
経済マンガってなんなの?―石ノ森章太郎『マンガ日本経済入門』
努力する「破滅型」―柳沢きみお『男の自画像』
適度な不幸はうらやましい―井浦秀夫『やる気のまんま』
「レトロ」にあらず―岡本蛍・刀根夕子『おもひでぽろぽろ』
荒涼たる爽快さ―わたせせいぞう『ハートカクテル』
言葉によらない小説―大島弓子『秋日子かく語りき』
正直と下品の快感―梶原一騎・原田久仁信『男の星座』
都市生活の因数分解―柴門ふみ『女ともだち』〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
xtc1961ymo
2
1991年に出た本の文庫化。沈黙の艦隊、課長島耕作、ゴルゴ13等のドメジャーから、岡崎京子、近藤ようこ、大島弓子、内田春菊や吉田秋生まで、そして、全ての大元、手塚治虫までを語った当時としては、画期的な漫画論。「美味しんぼ」「ゴルゴ13」の絵に関して単なる絵解き、成長する気持ちもないだろう。には、本当にそう思った、古過ぎますよね。2014/07/09
my_you
0
80年代後半のマンガを30程度取り上げて論じたもの。その根底には手塚治虫へのリスペクト、マンガで多様なストーリーを描くことへの信頼がある。好きなマンガについても好かぬマンガについても、その読後感を明快に語っているから信頼ができる、いい本だと思います。2009/12/15
ヨン・デル
0
何度目かの再読。80年代後半、量的質的ともにいよいよ無視できなくなってきたマンガ表現の豊饒を、当時まだマンガに予断を持つ人たちに啓蒙せんと書かれた批評。細かい部分では古さもあるが、30年経ってもまだまだ通用する鋭い読みはさすが。取り上げられている中で読み逃していた作品のいくつかは必ず読もうと思わせられた。2018/02/07