文春文庫<br> 幻島記

文春文庫
幻島記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 302p
  • 商品コード 9784167370022
  • NDC分類 913.6

出版社内容情報

慶長元年、別府湾にあった瓜生島が地震のため一夜にして沈没した─果して瓜生島は実在の島か、幻の島か、いわゆる"瓜生島伝設"の謎を描く表題作など秀作短篇集

内容説明

慶長元年、別府湾上にある周囲3里もある瓜生島が大地震と津波で一夜にして陥没した―水戸彰考館に田舎儒者と侮られた豊後府内藩儒笠春兆は“瓜生島海没”の地誌を編纂した。しかし、その信憑性が問われた。果して実在の島か、幻の島か。その謎をめぐる論争は現代まで続く。表題作など時代小説の秀作5篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yukision

54
九州を舞台とした5編の歴史短編集。一夜にして海に沈んだとされる瓜生島伝説は真実か捏造かという歴史ミステリーの表題作も面白いが,私は欧州戦争で一時期オランダが地図から消えた時代,オランダ国旗が唯一揚げられていたという出島の話,「孤島の騎士」が目当てで読んだ。期待通りどれも非常に面白く,歴史好きには特にお薦め。2023/01/20

TheWho

11
海を題材にした歴史小説家が描く歴史短編物語。戦国末期に大地震の末沈んだ別府湾にあったと云われる「瓜生島」の伝説に惑わされた江戸中期の儒者の顛末を描いた表題を皮切りに、国境の島津分家の悲哀、遭難した延岡(宮崎)藩主に纏る顛末、主君の娘の運命に夢を掛けた佐賀侍の顛末、そして蘭英の欧州情勢に翻弄される出島の蘭通詞などの4つの物語。特に表題は、プラトンの「ティアイモス」や「クリティアス」に著されたアトランティス伝説に翻弄された後世の学者達にも比肩する驚愕な物語であった。いずれも歴史の狭間を扱った隠れた秀作です。2015/08/25

Berlin1888

4
戦国乱世から幕末明治にいたるまで、九州ローカル歴史小説短編集。ミステリ仕立てに武勇伝に、五編それぞれ逸品揃いの面白さながら、そんな中でも表題作が素晴らしい。「瓜生島沈没伝説」を題材に偽史がどのようにして作られ、支持を得て、民衆の間に広まっていったかを描いた物語。大昔に海に沈んだ島があったに違いない、証拠がないなら自分で作っちゃえばいい!と自分で立てた仮説にとり憑かれてしまう無名儒学者の姿がとても悲しくていとおしい。歴史でも科学でも突飛な説が野放しになっている現代の読者は読んでおいた方がよろしいでしょう。2019/01/07

NAKY

4
九州在住の作家による九州舞台の知られざる戦国江戸期の歴史の裏側を描いた短編集。どれも面白い!嫉妬と功名心から津波に沈んだ島があると嘘の記録を捏造する大分の儒者の話。島津本家の援軍は期待できず伊東の猛攻にひたすら耐え続ける老将の話。殿様の身代わりに攫われ家族と引き裂かれる侍の話。オランダが滅んだことを幕府に隠さざるをえなくなる長崎出島の役人の話、など。お薦めです。2015/07/09

pa

3
短編5作収録。やはり、白石一郎の短編にはハズレがなく、面白い!2017/07/14

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