内容説明
徳政を目指した順帝も急逝し、後漢王朝は外戚と宦官による腐敗を深めてゆく。そのような永寿元年(西暦155年)に、曹操は生まれた。続いて孫堅・劉備が。三十年後、宗教組織・太平道の信者を核に三十六万人が黄巾の叛乱に応じた時、曹操と孫堅は討伐軍に参加、劉備は学問を諦めて無類集団の中心となっていた。
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
昭和20(1945)年、蒲郡市に生まれる。早稲田大学文学部卒。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事、創作をはじめる。その後帰郷、ながい空白ののち「王家の風日」を完成。平成3年、「天空の舟」で新田次郎文学賞、「夏姫春秋」で直木賞、「重耳」で平成5年度芸術選奨文部大臣賞、「子産」で平成13年の吉川英治文学賞を受賞。平成18年に紫綬褒章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Book & Travel
42
腐敗が加速する後漢王朝。その引き金は、皇帝さえも毒殺し中国史上の大悪人と言われる梁冀。この梁冀の時代、続く宦官の時代も、権力を握った者がただ己の為に横暴を振るい、良臣は消されていく。国が一層乱れる中、曹操、劉備、孫堅、董卓ら三国志の主要人物が登場。彼らの若き日のエピソードに気持ちが盛り上がる。終盤の黄巾の乱では、劉備の活躍は無く、皇甫崇の戦ぶりと曹操の鋭敏さが印象的。演義ベースの物語とはやはり異なるが、乱の規模感や朝廷の動きなど全体像が具体的に分かって面白く、この巻も一気読みだった。先がますます楽しみだ。2022/03/04
Die-Go
41
図書館本。曹謄はフェードアウトしていき、いよいよ曹操の時代へ。ここまで後漢の混乱を描いてきたが、末期になり、ますます混迷の時代へと突き進んでいく。★★★★☆2022/03/20
ジュール リブレ
40
2000年も前の話⁈なのに今と変わらない?人の世はそんなもの? 中国・後漢の皇帝の、あまりの使えなさと、周りで私欲を貪る人々を描きながら、善玉はどんどん殺されて食傷した頃に、いよいよ三国志の主役たちが誕生。まだ表舞台までは届かないけれど、黄巾の乱も始まり、少し知ってる三国志へ!2019/06/19
みや
35
第二巻もまだ私が知る三国志より前の桓帝と霊帝の時代を描く。典型的な悪人として書かれる梁冀が大活躍し、驚く程に呆気なく消えていった。その壊滅の理由が桓帝の愛だというのは上手く出来過ぎのように感じたが、梁冀が消えた後も宦官による堕落と内輪揉めが続き、決して美談とはならない。後半には曹操や劉備の少年時代、黄巾賊の始まりが描かれ、既に十分に面白い状況が更にじわじわと盛り上がっていく。ここまでの2巻で帝室の害悪を知ったことで黄巾賊が正義に見える。こういった見え方の変化によって、今までと一味違う三国志を楽しめそう。2019/04/22
Haru
34
やっと名前の分かる人たちが産まれ始めた!順帝の時代には不正や官僚の専横に憤って立ち上がった宦官たちが、時代が過ぎるにつれ自分たちの保身だけを考える宮中の毒となっていく。正義感溢れた清廉な人たちが虚しく倒れていくなか、目の濁った帝の周りで帝国が少しずつ腐り崩れてゆく。すべてが壊れ、汚泥の中から、まっすぐで勢いのある若木が次々と伸びていくのはこれから。2019/08/31