文春文庫<br> 闇の梯子

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文春文庫
闇の梯子

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  • サイズ 文庫判/ページ数 290p
  • 商品コード 9784167192174
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

この作家初期の秀作短篇五篇。黒地の人生絵図として読者に鮮烈に印象づけられている市井物語。その頂点をなす表題作をはじめ「父と呼べ」「入墨」などを収録する

内容説明

漆黒の闇に明滅するひそやかな人生絵図。藤沢作品初期の短篇を彩るその独自の色調は読者を魅了してやまない。酔いどれの叩き大工の哀歓をえがく「父と呼べ」、島送りの過去をもつだんまり老人と娘とのほのかな交流をえがく「入墨」、そして闇の世渡りに背を押されるように墜ちてゆく男たちの宿命をえがく表題作ほか二篇を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

221
表題作を含む比較的初期の5つの短篇を収録。前半の3つが市井の、後の2つは武士社会を描いたもの。市井ものは、いくぶんかは余裕がある「入墨」を含めて、裏長屋に住む底辺の庶民たちの哀感を描く。博打に身を持ち崩した男たちが、それぞれの物語に絡むが、周縁の人々のやりきれなさが伝わってくる。武士を描く「相模守は無害」は、公儀隠密とはいうものの、いわば白色テロリストの責任感と仕事の全うをテーマにしているのだが、これも痛快というよりは、哀感の残る作品だ。5篇に共通するのは「運命を甘受し、耐え忍ぶ」ということだろうか。2012/09/24

Smileえっちゃん

52
以前読んだ本。闇の世渡りに背を押されるように、人生の闇に墜ちて行く男たちの宿命を゙描く代表作他5篇からなる短編集。短編ながら藤沢作品は読み応えがありました。2024/02/21

けやき

45
短編集5編。「相模守は無害」は海坂藩に潜入した公儀隠密の話。「紅の記憶」は婿入りをする予定だった女性の仇討ち。この2編と「父と呼べ」がよかった。2023/01/22

モトラッド

37
[再読]★★★★ 藤沢周平先生の初期短編ならではの世界観を味わえる五篇(初出誌は昭和48年~49年4月)を収録。文庫本の第1刷は昭和62年2月10日。仄暗くも、しみじみとしたその読後感が絶品です。表題作も良いけれど、私的には『入墨』(の卯助のキャラ)が、お気に入り。ファンならずとも、あまねくお薦めします。2019/09/28

キムチ27

35
いかなる状況でも体調でも「いいなぁ~時代小説って」って感じさせるのが藤沢作品。短編が5つ、十分に醍醐味を味わえた。改めて人々の生活が時間的にも精神的にも「闇の部分」が多かった事を想う。人別帳という制度の存在だけでも「奈落に落ちる」宿命を負うのに天変地異、刃傷等など揺らぎの上にかそけくある生活。削がれたような頬・・こういった表現がよく合う。さらなる秀逸は関川氏の文庫本巻末の解説。藤沢氏が「闇に降りる梯子」を書く事は「暗い手掘りの隧道」を通過する宿命だった・・上手い!!2014/09/06

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