文春新書<br> 死ねない時代の哲学

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文春新書
死ねない時代の哲学

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  • サイズ 新書判/ページ数 232p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166612529
  • NDC分類 490.1
  • Cコード C0295

出版社内容情報

世界有数の長寿社会となったことで日本人はどのような死を望むのかを問われるようになった。科学哲学の泰斗が考える死の迎え方とは。

内容説明

細菌やウイルスに突然、命を奪われる時代が終わり、有数の長寿社会が実現したいま、歴史上はじめて、一人ひとりが自分の人生の終わり方を考えざるをえなくなった。死生観、安楽死、尊厳死、終末期医療…科学哲学の泰斗が示した、死を準備するために考えておくべきこと。

目次

第1章 なぜ「死ねない」のか(医学は経験論だった;歴史の浅い近代医学 ほか)
第2章 日本人の死生観(神話にみる死生観;人間は死んだらどこへ行くのか ほか)
第3章 死は自己決定できるのか(安楽死をめぐる世界の状況;尊厳死が容認されているアメリカ ほか)
第4章 医療資源・経済と安楽死(「死ねない」理由;胃瘻と経営 ほか)
最終章 死を準備する(生きてきたように死ぬ;いまをどう生きるか ほか)

著者等紹介

村上陽一郎[ムラカミヨウイチロウ]
科学史家、科学哲学者。1936(昭和11)年、東京生まれ。東京大学教養学部卒、同大学院人文科学研究科博士課程修了。東京大学教養学部教授、同先端科学技術研究センター長、国際基督教大学教養学部教授、東洋英和女学院大学学長などを歴任。東京大学名誉教授。国際基督教大学名誉教授。広島市立大学名誉博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

53
癌で余命宣告を受けておられる村上先生の死生観は、大きな揺らぎを見せる。カトリック信者として、「自殺は罪」という宗教的戒めに、安楽死(これも自殺)を容認する自分の考えが背いていると葛藤する。「安楽死が法的に認められると、権利や義務の意識でこの問題に対処することになる」と言うなだいなださんの警鐘は鋭い。また、終末期鎮静は、実際の機能としては安楽死と限りなく同じ役割を果たしているとの指摘にもギクッとさせられた。感染症が克服され「死ねない時代」になったとして書かれた本著だが、このコロナ禍でその前提が揺らいでいる。2020/04/06

魚京童!

14
自分の命をどう扱うかだけだよね。自己決定できるのだろうか。流されていないのだろうか。そんなことを言い始めたらきりがないから成人に選挙権があるんでしょ。自分で決められるってことにした。でも死ぬことに関してはそれが許されない。不思議だよね。他人が関わっているけど、われ思う、ゆえにわれありなんだから、私が死んだらこの世界は終わる。関係ないじゃんって思ってしまったらどうでもいいよね。痛いのを我慢するより、いっそのこと身を投げてしまえばいい。モルヒネを打てばいい、ストロングゼロを飲めばいい。2022/07/03

大先生

13
安楽死・尊厳死に関する考察がメインの本です。なかなか難しい問題ですが、私は認める方向で議論をすすめていくべきだと思います。著者も明確には書いていませんが、肯定派だと読み取りました。ところで、【死は自分ひとりの問題ではなく、多くの人が関わるものだから、所有物のように処分する権限は認められない】という意見が紹介されており、著者もなるほどと思ったそうですが、私には??でした。そんなこと言い出したら婚姻だって何だって人生は全部そうでは?2022/07/15

tolucky1962

9
自分に安楽死を望むが身内には違う。死は個人のものでなく他者との関係にある。安楽死が法で認められても権利義務意識で対処したくない。終末医療を海外と比較。医師の負担と安楽死の判断を避ける日本らしい終末期鎮静。命の選択を可能とした出生前診断から中絶と母体保護法。寿命は延びるが逆に死ねない時代に否応なく考える時間を持たされる。技術は進むが安楽死などの法,コンセンサスはない。自らについて選択できるようでできない。そのなかで何を選べるのか,選べないのか。2022/06/18

マイケル

7
タイトルから分かるように著者は安楽死否定していない立場で、「安楽死を遂げた日本人(宮下洋一)」や「高瀬舟(森鴎外)」、2018年福生病院透析中止事件にも触れ、死の自己決定、日本人の死生観を説明。臓器移植など医療ツーリズムを自国で解決すべきと批判。障害理由による胎児条項がだめで経済理由の中絶OKなのはおかしいと問題視。NIPT陽性での中絶は胎児条項と変わらない。過去のパンデミックが「ペスト」など重要な文学作品を生み出したと書かれているが、今回の「COVID-19」パンデミックはどんな作品を生み出すのか。 2020/03/16

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