文春新書<br> アベンジャー型犯罪―秋葉原事件は警告する

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文春新書
アベンジャー型犯罪―秋葉原事件は警告する

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  • サイズ 新書判/ページ数 301p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166606801
  • NDC分類 368.6
  • Cコード C0295

内容説明

新しい概念である「アベンジャー(復讐者)型犯罪」について、日本で初めて論じた画期的な著作。FBIアカデミーの国立暴力犯罪分析センター報告書など多くの研究を踏まえ、近年続く凶悪事件を詳細に分析。精神医学だけでなく、犯罪病理学の専門家でもある著者が、発達科学、自己愛心理学、サイバー心理学、神経科学、社会学、経済学などの多面的な観点から問題の本質に迫る。崩壊に向う日本社会を再生するための、新しいヴィジョンを示唆する。

目次

第1章 六月八日秋葉原
第2章 アベンジャーによる犯罪
第3章 社会性発達の異変と強まる生きづらさ―幼くなる子ども、幼くなる大人
第4章 傷ついた自己愛の復讐―アンバランスな自己愛の病理
第5章 アベンジャーを生む家庭、学校
第6章 ヴァーチャル・アベンジャーの悲劇
第7章 アベンジャーを生む職場―奴隷以下に貶められる労働者
第8章 格差社会の新しい麻薬―麻薬を必要とする社会
第9章 共感性の喪失と日本社会の崩壊
第10章 危険から大切な存在を守るために
第11章 日本社会を再建するために―日本が目ざすべき道

著者等紹介

岡田尊司[オカダタカシ]
1960年香川県生まれ。精神科医。医学博士。東京大学哲学科中退、京都大学医学部卒業。同大学院の高次脳科学講座神経生物学教室、脳病態生理学講座精神医学教室にて研究に従事する。現在、京都医療少年院に勤務。07年刊「脳内汚染からの脱出」(文春新書)は大きな反響を呼び、教育界に多大な影響を与えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

PukaPuka

4
頭の中を自己愛憤怒で満たしたり、激しい言葉にして表すのと、無差別殺人を実行することには、相当な開きがある。ネットという媒体による被害感情の増幅や、様々な悪条件が積み重なって最後に暴発してしまうのはわかる。しかし同じような境遇や病理を持った人間のうち、一部の人がなぜ大きな一線を超えてしまうのか、そこはやはり謎である。また、犯人たちも恐いが、被害に遭った人たちを助けもせず、秋葉原の惨状を他人事として喜々として録画撮影していた野次馬たちは、一層気味が悪い。2017/09/28

ヤーヤートベ

2
高校、大学くらいまでは、むしろ優秀だった子どもが犯した犯罪が取り上げられている。子育ての参考になる部分も多いが、自分が間違いなく接していけるかと言うと自信はない。『弱っているときには、共感的に接し、その気持ちを汲むように努め、順調なときには、距離を開けていく。』と大きな破綻はないそうです。2022/02/27

806_shusaku

2
2008年の秋葉原無差別殺人事件を取り上げて日本社会の変質を論じている。資本主義が日本社会に浸透した結果、己の利益の為に他人を犠牲にすることを厭わない弱肉強食の社会となった。自らの成功のみを追及する自己愛は他人との共感的な価値観を破壊する。人々は自分の利益の事ばかりを考え、他人への配慮や思いやりを忘れた殺伐とした社会となった。こうした社会で抑圧された人々が精神的に追い詰められてアベンジャー型犯罪を起こしている。深刻な社会問題であり、今後はもう少し中和的で人々の心に余裕がある社会を創る意識が必要と考える。2017/02/05

たこやき

2
色々と言っているが、週刊誌報道を元に、都合の良い事実を述べてあーだこーだ言っている時点で精神分析でも何でもなく、ただの読書感想文。「ヴァーチャル化でアベンジャー型犯罪が増えた」などと言っているが、そもそもの殺人事件は減少しているし(09年は07年の戦後最少記録をさらに更新)、軽犯罪も減少傾向にある。平成19年版の犯罪白書を見ているのに、平成13年までの統計しか示さないとか、明らかに「騙し」の意図が見え、全く信頼出来ない内容

JVSTINIANVS

1
この著作の一番のテーマは「自己愛を克服するにはどうすればいいのだろうか?」という事なのだろうかと私は思った。この著作で紹介されている、いわゆる「アベンジャー」として紹介されている犯罪者達は、いずれも「自己愛」によって精神を蝕まれていった人達のように感じた。そしてこの犯罪者達だけではなく、「自己愛」という病理はこの日本社会の隅々まで広がっていて、多くの人達、ごく普通に暮らしている人達さえもこの病理に相当苦しんでいると思う。もちろん私にも思い当たる節があるので、他人事とは思えなかった。2017/09/14

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