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文春新書
不許可写真

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  • サイズ 新書判/ページ数 163p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166606528
  • NDC分類 210.7
  • Cコード C0295

出版社内容情報

見せてはいけない膨大な写真を、いま見る眼福。
見てはいけない、となれば見たくなる。これは人情というもの。見せてはならないと、「不許可」の印を凶々(まがまが)しくも押してあるのだから、ますます見たくなる。従軍カメラマンが撮り、軍の検閲でダメになった膨大な写真が新聞社には保存されている。兵士の死体は勿論、負傷した日本兵もいけない。武器の形、地形のわかるカット。裸の兵隊やダンサーの太腿も「不許可」。この呪われた写真の群れを眺めていると、戦前の日本人の奇怪なインテリジェンス感覚が見えてくる。ナチス・ドイツや中国の文革を「宣伝」という視点で分析した草森紳一氏が卓越した自由な精神で、不自由な時代の残像を読みといた、画期的な試み。

内容説明

見てはいけないもの。見せてはならないもの。不許可の烙印を押された禍々しい写真を次々と紹介しながら、卓越した自由な精神で、不自由な時代の残像を読みとった破天荒な試み。

目次

1 カメラの発明によって、叙事詩は生まれなくなった
2 「不許可写真」は、一コマもののマンガである

著者等紹介

草森紳一[クサモリシンイチ]
昭和13(1938)年、北海道生まれ。慶応義塾大学中国文学科卒。雑誌編集者をへて、物書きに。古今東西、硬軟自在、あらゆる分野にわたって書く。平成20(2008)年3月歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鉄之助

109
『本が崩れる』に続き草森の著作。日中戦争から太平洋戦争にかけて、軍部から「掲載不許可」になった大阪毎日新聞に眠る写真を一挙公開。何が許可され、何が不許可だったのか? 対比が面白かった。「国歌とは宣伝である」と標榜したナチスに対し、日本は、同じ陸軍でありながら大本営報道部と、陸軍省情報部が別々に検閲。一貫性がなかった。さらに、海軍も別組織で訳が分からない。故に、報道各社が自主規制して、国民が本当に知るべき情報から、遠ざけられていた実態が明らかになっている。2019/01/10

どんぐり

18
毎日新聞社の大阪本社の資料室に保存されている日中戦争および太平洋戦争の写真の中に「不許可」とハンコが押されたもの、「ボカス」「消す」と書き入れたものがある。「検閲済」の写真は、新聞に採択された場合、情報開示のスタイルをとった国家宣伝となる。「不許可」「保留」とされた写真は、国家宣伝、戦争には不都合ということになる。これらの写真が何故に不許可の烙印を押されたのか、「不都合な真実」を読み解いていく。この本の著者は『本が崩れる』の草森紳一氏で、没後に刊行されたもの。2013/08/11

傘緑

16
「国家宣伝の立場からすれば、既成の民間の新聞会社を残したことは、不徹底のそしりを免れない…残したからこそ『検閲』も生じたのである」 そしてナチスやソ連による一元的情報統制は「検閲」の存在そのものがない、と続く。さすが『ナチスプロパガンダ』の著者であるが、本書の資料調査・分析は極端に浅くて論とはとても呼べない、昔取った杵柄に頼った若書きならぬ老い書きというべきエッセイです。そして「戦争の叙事詩は、すべからく戦争をこえてなければならない。」( ´艸`)私は意地が悪いwwさて屍にさんざん鞭は打ったから次は本丸だ2016/09/26

Koki Miyachi

10
毎日新聞社大阪本社に保存されている日中戦争と太平洋戦争の膨大な戦争写真。戦時における報道と宣伝という写真の役割。不許可、保留、検閲済みで区別された写真とキャプションを辿りながら、報道と宣伝という戦争写真が背負っていた宿命と現実を浮き彫りにする試みだ。史実の重みは伝わるものの、保存写真を数日取材しただけの材料で本を一冊書くのは厳しいのではないか。もう少し多面的な取材をして掘り下げて欲しかった。物足りなさだけが残った。2015/06/18

kotte

9
戦時中にされた検閲の具体例がよくわかります。もう少し写真が多いとよかったですね。2017/11/11

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