内容説明
贋情報を追加したり、国策宣伝に利用されたり、切れた鉄道が繋がったり…客観的で、寡黙に思われがちな地図は、実は雄弁に物を語り、時には人も騙す。面白エピソード満載。
目次
第1章 おしゃべりな地図(地形図の余白で地球を実感する;札幌の街路がずれている理由 ほか)
第2章 ウソつきな地図(贋情報を追加した地図;地図に記載されない場所 ほか)
第3章 気まぐれな地図(地図だけが知っていた最高峰;マニア垂涎、幻の地図 ほか)
第4章 小悪魔な地図(地図が世界観を規定する;地図を国策宣伝に利用せよ ほか)
終章 いま、地図があぶない(国土地理院地形図の危機;ネット時代に漂う暗雲)
著者等紹介
竹内正浩[タケウチマサヒロ]
フリーランス・ライター。1963年愛知県生まれ。幼少より地図に親しみ、北海道大学卒業後、JTBに入社。出版部門で長年旅行誌などの編集に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Humbaba
11
地形は人間の手で作ったものではないが、それを書き写した地図は人間が創ったものである。そのため、地図の作成には人の意思が介在している。地形を伝えることが地図の本来の目的だが、その情報を使う相手が前ならざるものであることも考慮すれば、全てを正直に伝えることが必ずしも正解とはならない。2016/11/27
たくのみ
11
戦争と地図の関係は、著者のライフワーク的な関心らしい。戦争中、あるはずの施設や場所が消された地図。四日間だけ存在した町。自国の正当性をアピールした地図。わりと知られた事例から、レアな地方ネタまで。世界と日本を例にとった、地図の楽しみ方の入門書。カラー版だったらもっとインパクトあったのになぁ。「地図の愉しみ」シリーズの前哨戦的な本でした。2014/07/01
あらあらら
8
政治的に書き換えられる地図。中国製の地球儀の話はチェック甘すぎだし、国産しろよ2014/10/27
Hiroki Nishizumi
4
面白かった。地図への愛に満ち、またその知識も確かなものであるようだ。2019/06/07
謙信公
4
地図は、作成側の意図的なマインドコントロールが行われるようだ。メルカトル図法に慣れ親しんだ我々は、ソ連のあまりにもの面積の大きさに圧倒され、大国に囲まれた小国意識、狂露(ソ?)症を導いた。実際、欧州の各国と比べても、日本は大きい方なのに。どこぞの国は、国境線を自国の主張のみに改竄し、グーグルやヤフーにまで圧力をかけている。人件費が安いを理由に地球儀を発注すると、日本国内で販売されるものまで、彼の国の都合の良いように改竄される。売れればいいのか?情けない!残念なのは、掲載地図が小さい。解説が確認しにくい。 2018/01/22