内容説明
抗生物質が絶大な効果を発揮したのはもはや過去の話。菌は次々と耐性を獲得し、その結果、肺炎で死ぬ人は増加の一途。簡単な手術でも、手術後の感染に化膿止めが効かず死者が出たりと、細菌感染に対する備えは戦前レベルに逆戻りしつつある。薬の専門化である著者は、こうした耐性菌跋扈の恐るべき現状を明らかにし、菌が耐性を獲得する仕組みを解説するとともに、抗生物質や抗菌グッズの使用制限など、効果的対策を提言する。
目次
序章 今や周りは耐性菌だらけ(風邪をこじらせて死ぬ時代;新型肺炎サーズはなぜ恐ろしいか;我々は肺炎を起こす細菌に囲まれている;耐性菌製造の責任者たち;増大する感染症の危機)
第1章 抗生物質はどう神通力を失ってきたか(抗生物質開発小史;細菌の正体;感染症は変貌する)
第2章 抗生物質はいかにして細菌を抑えるか(微生物の基礎知識;抗生物質はどのように作用するのか)
第3章 抗生物質はなぜ効かなくなったか(耐性菌に化ける三つの方法;抗生物質を無力化するメカニズム;抗菌グッズは国を滅ぼす)
第4章 では、これからどうしたらいいか(求められる意識の転換;国がとるべき対策;個人でできる効果的な対策)
著者等紹介
三瀬勝利[ミセカツトシ]
1938年、福岡市生まれ。東京大学薬学部卒業。薬学博士。国立予防衛生研究所細菌部研究員、国立公衆衛生院細菌室長、国立医薬品食品衛生研究所副所長などを経て、(独)医薬品医療機器総合機構顧問。日本女子大学大学院講師などを兼ねる。専門は病原微生物学
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感想・レビュー
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おだまん
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抗生物質の乱用が大きく言われたころ。現在は下火になっているが、忘れてはいけないと思う。2008/11/09
やご
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「抗生物質が効かない細菌に院内感染して死亡」といった報道を時折聞くようになりましたが、かつて魔法のような効果を発揮した抗生物質が徐々にその力を失いつつある現状をわかりやすく解説した本です。「結果的に耐性菌を蔓延させかねない一般家庭での抗菌グッズの使用は、特別な事情がある場合を除き、効果は薄く害は大きい」という指摘はちょっと衝撃。 (続く)→ https://gok.0j0.jp/nissi/0123.htm2007/07/11