文春新書
日本の童貞

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  • サイズ 新書判/ページ数 269p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166603169
  • NDC分類 367.9
  • Cコード C0295

内容説明

女性からは「オタクっぽい」「不潔」と蔑まれ、医学者からは「包茎だから」「パーソナリティが未発達」と病人扱い。初体験を済ませたら一刻も早く忘れ去りたい、そして未経験なら隠していたい―だが、そんな「童貞」も一九二〇年代にはカッコいいと思われていた。戦前から戦後にかけての童貞にまつわるイメージの変遷のなかに、恋愛とセックスが強固に結びつき、男が女によって値踏みされるようになった日本社会の、性観念の変化を読みとる。

目次

第1章 「新妻にささげる贈り物」としての童貞―一九二〇年代の学生たち
第2章 童貞のススメ―男の性の問題化と医療化
第3章 貞操の男女平等の暗面―「花柳病男子拒婚同盟」への反応
第4章 女の童貞、男の童貞―「童貞」という言葉の変遷
第5章 「恥ずかしいもの」としての童貞―戦後の雑誌言説
第6章 シロウト童貞というカテゴリー―「恋愛の自由市場」の一側面
第7章 「やらはた」の誕生―童貞喪失年齢の規範化
第8章 マザコン・包茎・インポ―童貞の病理化
第9章 「童貞は見てわかる」―童貞の可視化
第10章 童貞の復権?

著者等紹介

渋谷知美[シブヤトモミ]
1972年大阪市生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学(教育社会学専攻)。現在、早稲田大学教育学部非常勤講師
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ふろんた

25
童貞がどのように見られてきたかの変遷がよくわかる。童貞を守ることが高潔であった時代もあったが、1980年代以降は週刊誌のレッテル張りのせいか、恥ずかしいものとされるように。参照媒体のせいか女性のコメントがあっちの意味でゆるい感じもします。他の本では昔のソープ嬢かかなり純情であったし。2016/02/02

つまみ食い

7
フェミニズムと構築主義的立場から日本における「童貞」概念に関する言説の変容を通時的に整理する。パワーワードが並びページを手繰る手を止められないが、著者の姿勢はあくまで学問的に真摯でかつ「処女崇拝」などの男性中心主義を批判しながら男性自身も苦しめる規範としての童貞概念をフーコーよろしく相対化することに成功している。2023/03/17

てながあしなが

6
小飼弾氏か誰かが勧めていたので読んでみた。「童貞」も、真剣に研究すればここまでのものが書けるのだと感心してしまう。「童貞」ということば、そして概念の変遷を、文献を参照しながら繙いていく。「もともと『童貞』は男性のみを指していたわけではなかった」だとか「かつては非童貞よりも童貞の方が是とされていた」などの、今の常識とは異なる話が出てきて面白い。コンセプト勝ちな新書。2018/08/09

Gen Kato

6
「性的なことは私的なこと、というタテマエのもとで、個人のセクシュアリティがたえず公による干渉にさらされている――これが、童貞が差別される社会の本質である」「必要なのは、性を私的領域におしこめることではなく、何か特定の言質が力を持たないように、より多くの性にまつわる言質を公の場であみだしていくこと」……作者の結論(提案)にまったく異議なし。「童貞」も「処女」も、いつそれを失うかはあくまで個人の自由であるはず。それが多数の「こうあるべき」という圧力であまりにもゆがめられすぎていると思う。2015/05/26

かめすけ

5
要約:「童貞」という言葉の変遷をたどる本。1920年代では「童貞」は多くの知識人の学生において「新妻に捧げる贈り物」であったが、結局のところ、富国強兵を支える「家庭」を目指すものであった。戦後、特に80年代、雑誌というメディアにおいて「童貞」は「恥」とされ、「やらはた」などの新しい語の登場や「童貞」と性格(パーソナリティ)の融合等様々な手法で「童貞」を「捨てる」ように煽った。 第10章から引用:童貞が恥となる社会は「恋愛とセックスが強固に結びついている社会である」(続く)2019/01/11

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