出版社内容情報
政府・官公庁・社会運動団体・マスコミが発表する社会調査の大半はゴミである。我々はいかにしたらデタラメ社会から脱却できるか
内容説明
世の中に蔓延している「社会調査」の過半数はゴミである。始末の悪いことに、このゴミは参考にされたり引用されることで、新たなゴミを生み出している。では、なぜこのようなゴミが作られるのか。それは、この国では社会調査についてのきちんとした方法論が認識されていないからだ。いい加減なデータが大手を振ってまかり通る日本―デタラメ社会を脱却するために、我々は今こそゴミを見分ける目を養い、ゴミを作らないための方法論を学ぶ必要がある。
目次
序章 豊かさ指標はなぜ失敗したか
第1章 「社会調査」はゴミがいっぱい
第2章 調査とマスコミ―ずさんなデータが記事になる理由
第3章 研究者と調査
第4章 さまざまな「バイアス(偏向)」
第5章 リサーチ・リテラシーのすすめ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
57
新聞各社の誘導的な調査に気付き笑うことはあっても、省庁による統計や調査結果は鵜呑み、かつ概要をテキストで読んで済ませていたことも多く反省した次第。20年前の刊行ながら今尚スリリングかつ、戒めとなる一冊。2020/01/20
うりぼう
36
著者は、日本の社会調査について、相当怒っている。欧米では、調査の情報が共有されることが常識だが、日本ではまれ。公的に調査されたものですら共有されない。合理的に物事を考えるはずの調査の専門家でも受け入れられず同業者として著者は辛そうである。第3章だけトーンが変わる。日本人の独特の感覚が明確にでるのが社会調査という分野なのかも。数字に弱い私は、データを示されただけで納得してしまう典型的なタイプなので、ずいぶん勉強になった。調査の格付けや日本版GSS、東大のデータ・アーカイブなど一歩ずつ進むことを期待したい。2013/02/21
ゲオルギオ・ハーン
30
正しく統計を読もう系の社会調査版といった内容。話題にしている社会調査をゴミとハッキリ書いたり、新聞社に対する書き方がけっこう強めでちょっと驚いてしまう。社会調査に関するところは(一部言いがかりなようなところもあるが)正論だし、学生時代に読んで勉強になった記憶がある。注意点は第3章の『研究者と調査』で著者も書いている通り読み飛ばしても問題ないほど本と関係ない章になっている。内容も私大経営者一族の御曹司である著者の主観のため、どこか学者を馬鹿にしているところがあり、あまり良い気分では読めない。2021/11/21
501
23
新聞などの記事に統計と称して結果が添えられていると、それだけで客観的な裏付けがされ信憑性が高いもの思いがちだが、まずはその統計が目的を満たせる正しい方法でとられているのか疑った視点で見られるようになる本。一見正しく見えてしまう調査結果を疑うのは難しい。本書は調査結果を疑うためノウハウとして、調査の種類と調査で生じるバイアスについて、著者がゴミと称する世の中に発表されている統計調査を引き合いにだしつつ教えてくれる。2016/06/11
Nobu A
22
筆者の他著「データは嘘…」を数年前に読み、以前から見聞きし、読みたいと思っていた本書。被る部分もあるが、面白かった。「世の中に蔓延している社会調査の過半数はゴミ」と言い切り、終始歯に衣着せぬ物言いの筆者の論調は目を見張るが、それ相応の根拠を示し、反論を受け入れる姿勢に頁が進む。メディアの実例を挙げながらその中に潜むバイアスを読者に考えさせ、分かりやすく解説。メディア・リテラシー教育の重要性を提唱。様々な社会層の多様な生活スタイルや考え方を知り、幅広い常識感覚を身に付ける必要があると感じた。意外に難しい。2018/06/04