出版社内容情報
司馬文学に新しい光をあてる豊かな短篇小説の世界
1968年から76年に発表された7篇を収める。「木曜島の夜会」を最後に作家は短篇創作から離れ、大長篇作家として記憶されるようになる
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
大正12(1923)年、大阪市生れ。大阪外国語学校(現・大阪外国語大)蒙古科卒業。昭和35年、「梟の城」で直木賞受賞。41年、「竜馬がゆく」「国盗り物語」で菊池寛賞受賞。47年、吉川英治文学賞受賞。51年、日本芸術院恩賜賞受賞。56年、日本芸術院会員。57年、「ひとびとの跫音」で読売文学賞受賞。59年、新潮日本文学大賞学芸部門賞受賞。62年、「ロシアについて」で読売文学賞受賞。63年、「韃靼疾風録」で大佛次郎賞受賞。平成3年、文化功労者。5年、文化勲章受章。8(1996)年2月12日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
49
この巻で最後ですが、この中には有名な「馬上少年過ぐ」や「木曜島の夜会」が含まれています。「木曜島の夜会」は読んだことがないので楽しめました。オーストラリア近辺の海で採取される白蝶貝(ボタンの材料)をとるために日本から出稼ぎにいった人々の話です。これでうちにある司馬さんの本はほとんど読んでしまいました。また再読しようと思っています。2015/04/15
kawa
29
全集最終巻で取り上げられる短篇の主人公は比較的マイナー。明治から昭和前半、オーストラリア木曜島で衣服のボタン材料に利用するための貝殻を集めるために潜水夫となった紀州・熊野の人々の物語「木曜島の夜会」が新鮮。埋もれていた歴史を知る意味で刺激的な一作。いつもの司馬マナーと異なる展開、一読で意味ボーゥとして思わずの二読。2023/04/12
がんぞ
3
戦国武将で英雄と言われる者は、みな父親を早くに亡くしている、自ら手掛けたものもあり、伊達政宗のように見殺しもある。父がいては野心を体現不可/『貂の皮』「良い戦士を作るには年少から戦場を体験しておくといい」「武士」は武装農民の進化型で、実力主義の戦国時代では、戦闘力がアイデンティティ。井沢元彦『逆説の日本史』で、徳川家綱の(評価の低い)「生類哀みの令」について考察し、「過激と見られるほど生命尊重の原則を打ち出さなかったなら泰平の世は来なかったろう 」。暴力が一時的にはあまりに有効な手段、なのに対し自制を馴致2017/01/22
悠々人
3
7つの短編集です。やはり、「馬上少年過ぐ」が良いですね。政宗が歌道にも優れていたとは驚きです。2016/03/28
寅次郎
3
久々の司馬作品。読むたびに何かを教えてくれます。短編7本入っていますが、各々珠玉の名作です。2011/07/05