出版社内容情報
司馬文学に新しい光をあてる豊かな短篇小説の世界
1964年に発表された14篇を収める。この年の3月、「燃えよ剣」が完結、「竜馬がゆく」は連載3年目を迎え佳境に入る。著者41歳のころ
内容説明
『功名が辻』連載中のころ司馬遼太郎は言った。「短篇小説を書くというのは、空気を絞って水を滴らすほどのエネルギーがいる」そうして生まれた短篇の豊かな世界を発表順に味わう。
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
大正12(1923)年、大阪市生まれ。大阪外国語学校(現・大阪外国語大)蒙古科卒業。昭和35年、「梟の城」で直木賞受賞。41年、「竜馬がゆく」「国盗り物語」で菊池寛賞受賞。47年、吉川英治文学賞受賞。51年、日本芸術院恩賜賞受賞。56年、日本芸術院会員。57年、「ひとびとの跫音」で読売文学賞受賞。59年、新潮日本文学大賞学芸部門賞受賞。62年、「ロシアについて」で読売文学賞受賞。63年、「韃靼疾風録」で大佛次郎賞受賞。平成3年、文化功労者。5年、文化勲章受章。8(1996)年2月12日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
40
この中には、結構ほかの作品集に入っているものが含まれています。「鬼謀の人」村田蔵六のことを書いたものであるし、「人斬り以蔵」暗殺人である岡田以蔵のことを書いたものや、「関ヶ原」本当はかなりな作品ですがそこから一部を抜き出したものなどなじみのものが多いように感じられました。このような読み方もいいものですね。2015/03/11
kawa
30
幕末もの中心の14編800頁弱。ベストはラスト「酔って候」山内容堂。土佐藩の上士×郷士、佐幕×尊王攘夷の動乱ドラマが面白いし、維新を決定付けた徳川の納地返還を決定する小御所会議の生々しさに釘付け。そこで日和るな容堂の思いもあるのだが、西郷の覚悟のほうが先手位勝ちということなのだろう。これ長編ドラマ仕立て読んでみたい一作。他にも当時の人物や事件に焦点当ての作、ノワール物など力作揃い。どなたかのレビューにもあったが、これまでの短編全集でベストかも。2023/03/02
Genei-John
1
司馬遼太郎の長編の原型のような短編が数多く目についた。長編もよいが、短編もエッセンスが凝縮されているようで面白い。2012/12/20
シノッツォ
0
全集の中でも一番面白い作品が収録されてると思う。『人斬り以蔵』。以蔵のどんどん空回りしていく様が、なんとも言えず悲しい。他、大村益次郎を描いた『鬼謀の人』。どれもが面白かった。2018/12/01