出版社内容情報
短篇3 装飾評伝・黒地の絵他
感想・レビュー
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けぬーじ
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25の短編からなる。いづれもただ面白く、また怖い。ひょんな出来事から、それに纏わる出来事を丹念に作品として仕上げていく清張氏の想像力、筆力たるや。誰にでもありうる陥穽。不安。そして日常の崩壊。昭和32年から35年ごろの作品だが、現代においても古びていない。所謂「課長補佐」的な人が「因果を含め(られて)」上役の責任を取って云々、といった様な事は現代でも行われているだろうからだ。また、在野の人間の本質も、基本的には時代に関わらず不変であり、欲に溺れ、そのツケを払う、悲しい人間の性を冷徹な筆致で描き出している。2024/04/02