出版社内容情報
砂の器
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ASnowyHeron
29
犯人に行きつく展開が、???と思った。時間をかけても事件を解決できたのはいいが、自分的には強引な感じが否めない。松本氏の作品はこれまでノンフィクションのものを読んだのみで、執念といってもいいような力強さを感じていたので、残念だった。これまで読む機会を先延ばしにしていた氏の作品だが、追いかけていきたい。2017/09/25
J7(読メ低浮上中)
21
かねてより読みたいと思っていた名作のひとつ。よくハンセン病の悲劇と引き合いに出される本作であるが内容を最後まで読んでその理由に納得した。少ない手がかりを元に駆け回る王道の刑事ドラマがメインで肩肘張らずに楽しめ、肝心の犯人が背負っていた宿命に関しては描写があっさりしていたのは意外だった。だけどクライマックスで栄光を掴みかけた彼の人生が崩れ去るシーンはやはり胸打つものがあり初めてタイトルの意味を類推した。読む人の様々な感情移入を許す余地があり、後年映像化などの形で長く語り継がれるだけの魅力があったのだろうな。2022/01/14
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
13
58歳にして初めて清張を手に取りました!3月に北九州の清張記念館に連れてっていただき、清張作品がルーザーの物語だと知らされ衝撃。ハンセン病のことなど単なる設定ではなく弱者に寄り添う気持ちゆえの作品だと。が、もともと推理小説が苦手なので、ラストでの種明かし一気出しの説明口調はやっぱしんどかった。2019/04/16
ナハチガル
10
国内の電車移動で日を跨いだり、家に風呂がなかったり、飲み屋のおかみがそろばんで勘定したりと、懐かしい(と言っても私の生まれる前だが)昭和の雰囲気にひたれて心地よかったが、語り手自身もよくわかっていないような「ヌーボーグループ」、前衛音楽、後半に時々書かれる「これまでのまとめ」、おおらかな時代ならではのご都合主義は、読んでて居心地が悪かった。初期の数編しか読んだことがないが、もっと腰が安定していたように思う。にしても、文章全体からにじみ出るのは、作者の真面目さと人の良さなんだな。嫌いじゃないです。A-。2019/08/12
きいろいとり部長
9
昭和のかほり。映画で丹波哲郎や家政婦は見たに出てくる女優さんが若くて、それでいて面影一杯。ハンセン病の人への偏見を訂正しようとする姿。2021/06/27