出版社内容情報
日本文学の中心は天皇の恋歌にあり──常識のヴェ─ルをからげると、そこには歴史と文化の真新しい風景がのぞく。批評集完結配本
目次
日本文学史早わかり
日本文学史年表
不思議な文学史を生きる
津田左右吉に逆らって
明治末年的文学史―津田左右吉『文学に現はれたる我が国民思想の研究』
日本文学史を見わたす
歌道の盛り
ばさら連歌
狂歌集の題
男泣きについての文学論〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hiro
1
著者のエッセイを改めてきちんと読んでみたいと前々から思っていた。本書は日本文学の特徴を天皇を中心とする宮廷文化の伝統に求め、二十一もの勅撰和歌集に沿って文学史を構想することで、その固有の豊かさを明らかにする。さらに著者は記紀万葉から続く日本文学の伝統を軽んじた明治以降の自然主義や私小説の風潮を痛烈に批判しながら、独自に発達してきたかに見える日本文学が伝統を重んじる点で実は西欧20世紀のモダニズム文学とも相通じることを説明する。この、本書前半のエッセイは読み応え充分。後半の男泣きのエッセイも秀逸だ。2020/06/22