偽装死で別の人生を生きる

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偽装死で別の人生を生きる

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  • サイズ B6判/ページ数 280p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163906508
  • NDC分類 936
  • Cコード C0098

出版社内容情報

自ら死を装って金銭や暴力問題から逃れたい。だがそんなことができるのか。実行者や失踪請負人を取材し、著者自らも偽装死を実体験!詐欺罪で懲役二十二年を言い渡され、刑務所に出頭することになっていた日にハドソン川に

架かる橋から飛び降りた男。

フィリピンで賭博の最中にトラブルで刺殺されてしまった男。

自宅付近の浜からカヌーで海に出て戻らず、死亡を認められたイギリス人の男性。

彼らは皆、死亡を偽装し、その後も生きていた。はたしてそんなことが可能なのだろうか。

著者自ら、偽装死の実体験者や失踪請負人、偽装の摘発者たちを取材すると共に、自身の死亡証明書を

手に入れるため、海外に飛んだ――。





目次



プロローグ

学資ローンの返済に困った私はある日、思いつきで「死亡偽装」をネットで検索してみた。監視カメラやGPS

機能付きの携帯電話などが当たり前となった21世紀の世の中で、単に姿を消すことがはたして可能なのだろうか。



1 失踪請負人

自分が誰か別の人間だったら、という空想は誰もがすること。それが究極的に人生を消去して別の者に生まれ変

わりたい願望に至る。顧客から料金を取って彼等の情報を隠蔽、攪乱し、そのアイデンティティを現実からもデ

ジタル世界からも消し去ることを生業とする者がいる。



2 偽装摘発請負人

死亡偽装の最もありふれた動機は保険金詐欺だ。とはいえ、うまくいくことはまずない。成功には大災害が必要

となる。9・11テロ直後、事実誤認も含め、実際の犠牲者数の倍以上の捜索願が出されたという。テロで死んだ

ことにして義援金や保険金を騙し取ろうとしたのだ。



3 カヌーマン

2002年3月、イギリス北東部在住のジョン・ダーウィンは自宅付近の浜からカヌーで海に出て、そのまま戻らな

かった。それからおよそ6年が経ち、記憶喪失だったと彼が警察に助けを求めると、メディアは奇跡の生還と大々

的に取り上げる。だが間もなく嘘が露見。真実は驚くべきものだった。



4 マイケル・ジャクソンとビリーバー

2009年に早世したキング・オブ・ポップ。その生存を信じるファンは、あれは彼が仕掛けた史上最大の悪ふざけ

だということを示す証拠が山ほどあると言う。マイケルはなぜ偽装死する必要があったのか。取材を進めていく

うちに、本人と匂わせる人物から携帯電話に連絡が入った。



5 家族が受ける二次的ダメージ

幼い頃にヘロインの過剰摂取で死んだと教えられた父親が後年まで生きていたことを知った娘。詐欺罪で捕まり

逃亡する父から死亡偽装計画を聞かされていた男子中学生。実の父親に脅され、保険金詐欺の共犯となった20代

の息子。関わり方に違いはあれども、3人とも犠牲者である。



6 死亡証明書を手に入れる

死亡偽装の現場を見たくて私はフィリピンに飛んだ。男二人の協力者と出会い、偽装遺体の購入こそあきらめた

ものの、彼らに依頼し、偽造した自らの死亡証明書を手に入れることになった。待たされた末、帰国予定日の前

日に国家警察本部前で手渡された封筒を開けてみると――。



エピローグ

取材対象者一人一人から個々の事情を聞いてみると、彼等の立場に立って考え、理解できることもあった。それ

以上に、彼等自身が語る物語、その語り口に私は興味を引かれた。そして自分自身が、自らの死亡証明書を手に

した時に感じたこととは。



謝辞

訳者あとがき

エリザベス・グリーンウッド[エリザベス グリーンウッド]

赤根 洋子[アカネ ヨウコ]

内容説明

詐欺罪で懲役二十二年を言い渡され、刑務所に出頭することになっていた日にハドソン川に架かる橋から飛び降りた男。フィリピンで賭博の最中にトラブルで刺殺されてしまった男。自宅付近の浜からカヌーで海に出て戻らず、死亡を認められたイギリス人の男性。彼らは皆、死亡を偽装し、その後も生きていた。はたしてそんなことが可能なのだろうか。著者自ら、偽装死の実体験者や失踪請負人、偽装の摘発者たちを取材すると共に、自身の死亡証明書を手に入れるため、海外に飛んだ―。

目次

1 失踪請負人
2 偽装摘発請負人
3 カヌーマン
4 マイケル・ジャクソンとビリーバー
5 家族が受ける二次的ダメージ
6 死亡証明書を手に入れる

著者等紹介

グリーンウッド,エリザベス[グリーンウッド,エリザベス] [Greenwood,Elizabeth]
アメリカ・マサチューセッツ州ウースター育ち。ニューヨークの公立小学校教師を経て、現在はコロンビア大学で作文法を教えている。『偽装死で別の人生を生きる』が処女作である

赤根洋子[アカネヨウコ]
翻訳家。早稲田大学大学院修士課程修了(ドイツ文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yumiko

71
自分の死を偽装し、別な人生を歩むことは可能なのか?これは、学資ローンの返済に悲観し死亡偽装を考えた著者による、徹底した取材に支えられたドキュメンタリーだ。失踪請負人、偽装摘発請負人、一時的に偽装に成功した者、残された家族…取材対象は多岐に渡り、終には自らの死亡証明書を手にするまでに至る。しかしある種異様なテーマでありながら、この読後感の清々しさは何だろう。死の断崖ぎりぎりに立ったからこそ分かる命の重み。 生きるということに正面からぶつかり辿り着いた思いは、シンプルだけど深い。衝撃的な題名に怯まずに是非♪2017/07/29

keiトモニ

36
宮部みゆき氏が“21世紀の往きて還りし物語だ”と、6月讀賣新聞書評欄での紹介だったけどそうは思えない。著者はエピローグで“これは死の物語ではなく恥ずかしながら少し遅めの成長の物語だ”と…でも成長はしていない。借金棒引き狙いの夜逃げ方法論の紹介であった。社会人となっても借金踏み倒しの性根は変えられんだろう。替え玉殺人までも…。死亡偽装の理由ベスト3は①カネ②暴力③愛。訳者も国民全員に番号割りあて社会で死亡偽装の成りすましは可能か?☚防止の為のマイ№だ。日本の金融機関も米国の様に口座開設をより厳格化すべきだ。2017/06/17

犬養三千代

10
今まで簡単に(面白い)という言葉を使ってきたが、本当に面白い本に出会った。 自らの借金を偽装死で解決しようとして5年もかかってかきあげた。 カヌーマンという章がリアル。偽装を請負う、また、偽装を暴く人達の話も。自身の死亡証明書を手に入れるのには恐れ入り屋の鬼子母神。 ユーモアありの文章は訳者の力量も光ってる。2018/03/04

アヴォカド

8
学資ローンの返済を悲観して…とは動機が不純、と最初は少々腹を立てながら読んだが、よくよく計算してみると相当な額。そして最後には、筆者の成長が見ることが出来てああよかった、とホッとした。2017/08/14

hyoshiok

8
学資ローンでにっちもさっちも行かなくなった著者がネットで「死亡偽装」を検索したことから始まるノンフィクション。失踪請負人、偽装摘発請負人、実際に失踪した人、その家族などにインタビューをする。死亡偽装の動機の一つは経済的なものだ。保険金詐欺はもちろん犯罪だが、家族にも多大な影響を与える。偽装死を選ぶ人それぞれにはそれぞれの事情があるが著者はその事情を丹念にインタビューする。本書は著者の成長の記録だ。 http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20170626/p12017/06/26

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