愛の顛末―純愛とスキャンダルの文学史

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  • サイズ B6判/ページ数 230p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163903606
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0095

出版社内容情報

小林多喜二、三浦綾子、中島敦……明治~昭和に生きた文学者十二人の愛と性、生と死の知られざる軌跡をたどったノンフィクション。

悲恋、秘められた恋、ストーカー的熱情など、文学者たちの知られざる愛のかたちを追った珠玉のノンフィクション。

●小林多喜二――沈黙を貫いて亡くなった小林多喜二の恋人、田口タキ。多喜二に深く愛されながらも、自分は彼にふさわしくないと身を引き、それゆえ伝説的な存在になった。
●近松秋江――女性に対する尋常でない恋着を描いて明治・大正の文学史に特異な足跡を残した近松秋江。いまでいうストーカーのごとき執着と妄執は、「非常識」「破廉恥」と評された。
●三浦綾子――旭川の小学校教師であった三浦綾子は、敗戦による価値観の転倒に打ちのめされ退職、自死を図る。光を与えたのはクリスチャンである一人の青年だったが、彼は結核で逝き――。
●中島敦――母の愛、家庭のぬくもりを知らずに育った中島敦が選んだ女性は、ふくよかで母性的な人だった。だが彼女には親同士が決めた婚約者がいた。そこから中島の大奮闘が始まる。
●原民喜――最愛の妻を失ったときから、原民喜はその半身を死の側に置いていた。だが広島で被爆しその惨状を目の当たりにしたことで、彼は自らの死を延期したのだった。
他に梶井基次郎、中条ふみ子、吉野せい、宮柊二など。

内容説明

こんなにも、書くことと愛することに生きた!小林多喜二、三浦綾子、梶井基次郎…運命の出会い・悲恋・ストーカー的妄執・死の床での愛。明治・大正・昭和に生きた文学者12人の知られざる愛の物語を辿った、珠玉のノンフィクション。

目次

小林多喜二―恋と闘争
近松秋江―「情痴」の人
三浦綾子―「氷点」と夫婦のきずな
中島敦―ぬくもりを求めて
原民喜―「死と愛と孤独」の自画像
鈴木しづ子―性と生のうたびと
梶井基次郎―夭折作家の恋
中城ふみ子―恋と死のうた
寺田寅彦―三人の妻
八木重吉―素朴なこころ
宮柊二―戦場からの手紙
吉野せい―相克と和解

著者等紹介

梯久美子[カケハシクミコ]
1961年熊本県生まれ。北海道大学文学部卒業。2006年、『散るぞ悲しき硫黄島総指揮官・栗林忠道』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hit4papa

60
小説家、詩人、歌人 明治から昭和にかけての文士たち12人の実録恋愛模様です。本書に掲載されている作家は名前は知っていますが、作品はほとんど読んだことがありません。それぞれの恋愛事情を垣間見ると、あらためてその作品に触れてみたいと思うようになりました。純愛あり、略奪あり、ストーカーあり。作品の裏っ側にある、生々しい人間模様が浮かび上がります。中には作品にしたいがために、こじらせたかのような作家もいますね。三浦綾子の無垢さに心洗われ、痴情作家と揶揄された近松秋江に興味津々です。著者の文学愛がが感じられる労作。2018/10/24

キムチ27

45
作家と作品を切り離したくないという想いでそそられた筆者のモチベーションが花開いている。一挙読みが惜しく意識的にゆっくり読みしつつ私の脳内で梯さんの文章や当人たちの資料を反芻しながら味わった。文士って言うと定番でスタイルが浮かぶ…それにしても性,貧困,性格破綻,感受性が溢れんばかりの最たる人物ばかり。個人的は避けてきた作家も多いので知らないことばかり。面白すぎ~近松秋江と梶井基次郎には悼みすら覚えた。明治、大正、昭和初期まで結核が落とした文学史上への陰の暗さ、いや明るさもあるのかな…濃い。2016/10/31

りつこ

36
以前は作家の人となりは知りたくないと思っていたけれど今はとても興味がある。素晴らしい作品を書く作家が素晴らしい夫ではないことを証明するようなエピソードが多いけれど、身勝手さや弱さも含めて文学的だ。書くことが生きることとも、また死ぬこととも繋がっているように感じる。愛を持って描きながらも少し距離を置く、作者の作家への距離感がとてもいい。積んでる「狂うひと」も素晴らしいに違いない。読まなきゃ。2019/02/27

miyu

36
女性の強さに比べ昔の文士(男)の至らなさやか弱さ、見ててイライラする依存心の塊のような姿を再見し感動どころか些か幻滅。太宰(この本には出ていない)を始め所謂"繊細"な魂の男たちしか人の心を永遠に打つような文学をモノにできないのかもしれない。二人の妻に先立たれ娶った三人目が悪妻と言われた寺田寅彦はまだ愛嬌ある。(そしてこの人けして悪妻じゃないしね)一方で『夏の花』作者・原民喜のあまりのか細さには絶句した。誰も情熱だけは百万倍だから始末が悪い。そんな中で梶井基次郎の意外な男気にハッとした。早世が惜しまれる人。2018/08/25

パブロ

17
大正から昭和にかけての作家、俳人たちの知らなかったエピソードがゴロゴロ。あの端正な文体の中島敦がこんな熱愛をしていたなんて!? 梶井基次郎と宇野千代ってそんな関係だったの!? 小林多喜二の純愛にホロリとさせられたり。愛がそのまま作家の人生を決定しているんだな〜と思ったり。やっぱり、作家の人生を垣間見させてくれる評伝的なものって、重要だと思う。その作家の人となりがわかるってことは、作品を読む上で読みが深まるしね。この著者が『新潮』で連載している「島尾ミホ伝」の完成がますます楽しみになりました。2016/02/02

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