薬石としての本たち

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薬石としての本たち

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  • サイズ B6判/ページ数 189p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163903361
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

書き下ろしエッセイ集。本についてのエッセイだが、著者の人生のさまざまな場所や時間をめぐって紡がれ、短篇小説集を読む味わい。

短篇小説を思わせる、本をめぐる深いエッセイ

書き下ろしエッセイ集。本についてのエッセイだが、著者の人生のさまざまな場所や時間をめぐって紡がれ、短篇小説集を読む味わい。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みも

59
【薬石】=身のためになる物事のたとえ。辞書にはこう記されている。つまり著者が身の助けとして読み繋いできた実用書の紹介。ここには精神性に強い影響を受けたであろう芥川龍之介や坂口安吾『堕落論』への言及はない。その意味で、小説家「南木佳士」ではなく、医師「霜田哲夫」視点の人生観と言っていいだろう。8冊の本が紹介され、それらに絡めて人生模様が語られる。著者の文章にいつも見られる、自嘲や謙虚さが散りばめられたスタイルが心地よい。自身で撮影されたカラー写真からはその深い思いが滲み出し、なんとも言えず微笑ましくもある。2019/02/17

風に吹かれて

19
「体」ではなく「からだ」。「からだ」だと「こころ」と同じになるように思う。いろいろな意味で「自然」に逆らって生きているのが人間。それが進歩とか発展とか呼ばれることもあるが、そういう生き方を見つめ直すことも大切。考えてみると、もっとも身近な「自然」は自分の「からだ」ではないかと思った。医師でもあり作家でもあり心療内科系病を患ってきた著者の、素直な気持ちを吐露した本。 →2022/01/17

しゃが

16
よかった。私は医師が書いた作品が好きだ。人様のいのちやからだに寄り添う毎日を積み重ねることが自身のからだにも思いを巡らすのだろう。日常を切り取ったエッセイ集で、著者が傍に置いている本たちの話が中心。小説での既視感もあるが、エッセイが一篇の短篇小説かのようである。医院の待合で読みはじめたが、一人の時間で静かに読みたくなった。40代でうつ病になり、定年近くになった人のものを見る眼の未視感が、ほどよく私のからだのなかを揺らし、緩めてくれた。紹介の本も秋が深まったら、手にして南木さんと共有したい。  2015/10/28

Sakie

12
やく‐せき【薬石】いろいろの薬や治療法。書評ではなく、ご自身の人生において鍵となる本と、それにまつわる随想から成る。それぞれが長めでなので、ほとんど半生記だ。南木佳士の文章に「何がないか」はわからないものだが、ご本人は身に実感できない言葉、さらに「心」という言葉は使わないとここに書いている。だからこそ、浮つかない、人そのものの有り様が、静かに自分を整える助けになるのだなと納得した。『人の真実は水深ゼロメートルにある』。歩くこと、山を望むこと、身体(からだ)と心。これらを結びつける穏やかな生活のお手本。2018/05/17

橘 由芽

9
「お前が言うか」と、叱られそうだが、以前の著者の文章には、医師で芥川賞作家という確固たる社会的位置付や巧みな文章を自身がよくわかっていて、そこからどうしてもにじみ出てしまう優越感みたいなものを感じ、少々白けたものだった。けれど本書、そういった嫌味な感じがずいぶん抜けている。素直に「ああ、心地いい文書だな。上手いな。」と思えた。年をとると文章も丸みを帯び、こなれてくるのかな。良い本だった。 ※南木先生、及び先生のファンの皆様。  すいません、ホントすいません(^_^;)2019/03/23

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