イスラム国―テロリストが国家をつくる時

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  • サイズ B6判/ページ数 192p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163902111
  • NDC分類 316.4
  • Cコード C0098

出版社内容情報

アルカイダの失敗は米国という遠い敵と第二戦線を開いたことにあったと総括する「イスラム国」の本質をまったく違った角度で描く。

中東の国境線をひきなおす。

アルカイダの失敗は、アメリカというあまりに遠い敵と
第二戦線を開いたことにあった。
バグダッド大学で神学の学位をとった一人の男、バグダディは
そう考えた。
英米、ロシア、サウジ、イラン、複雑な代理戦争をくりひろげる
シリアという崩壊国家に目をつけた、そのテロリストは
国家をつくること目指した。
領土をとり、石油を確保し、経済的に自立
電力をひき、食料配給所を儲け、予防接種まで行なう。
その最終目標は、失われたイスラム国家の建設だと言う。

対テロファイナンス専門のエコノミストが放つ
まったく新しい角度からの「イスラム国」。

池上彰が渾身の解説。

はじめに 中東の地図を塗り替える

欧米の多くの専門家は「イスラム国」をタリバンと同じ時代錯誤の組織だと考えている。しかし、それは違う。彼らは、グローバル化し多極化した世界を熟知し、大国の限界を驚くべきほど明確に理解している

序章 「決算報告書」を持つテロ組織

冷戦下のテロ組織は、PLOにしてもIRAにしても、狭い領域内で正規軍に対して戦いを挑んだ。イスラム国の決定的な違いは、群雄割拠する国際情勢の間隙をついて、広大な地域を支配下においた点だ

第1章 誰が「イスラム国」を始めたのか?

「イスラム国」の起源は、ビンラディンに反旗を翻したザルカウィに始まる。「遠い敵」アメリカではなくシーア派を攻撃するその路線は、バグダッド大学でイスラム神学の学位をとった一人の知識人にうけつがれる

第2章 中東バトルロワイヤル

米ソという超大国にいきつく冷戦期の代理戦争と違い、今日の代理戦争は多岐にわたるスポンサー国家が存在する。そうした多頭型代理戦争の間隙をついたのが「イスラム国」だ。いち早く経済的自立を達成し、優位にたった

第3章 イスラエル建国と何が違うのか?

イギリス、フランスの手によって引かれた中東の国境線を消し、新しいカリフ制国家を樹立する。そうとなえる「イスラム国」は、ユダヤ人がイスラエルを建国したのと同じ文脈にあるのだろうか?

第4章 スーパーテロリストの捏造

イラクのサダム・フセインとアルカイダをつなげるために、欧米によってザルカウィの神話がでっちあげられた。十年後、後継者のバグダディは、ソシアルネットワークの力でカリフ制国家の神話を欧米の若者に信じ込ませる

第5章 建国というジハード

「イスラム国」は、カリフ制国家の建国というまったく新しい概念をジハードに持ち込んだ。それは、アメリカという遠い敵に第二戦線を開いたアルカイダ、腐敗と独裁の中東諸国の権威を一気に色あせさせたのだ

第6章 もともとは近代化をめざす思想だった

「イスラム国」がよりどころにしているサラフィー主義はもともとは、オスマン帝国の後進性から近代化をめざす思想だった。それが欧米の植民地政策によって変質する。「神こそが力の源泉である」

第7章 モンゴルに侵略された歴史を利用する

一二五八年、バグダッドは、モンゴル人とタルタル人の連合軍によって徹底的に破壊された。当時連合軍を手引きしたのはシーア派の高官。21世紀、欧米と手を組むシーア派というロジックでこの歴史を徹底利用する

第8章 国家たらんとする意志

グローバル化と貧困化は、世界のあちこちで武装集団が跋扈する無政府状態を生み出した。しかしこれらの武装集団と「イスラム国」を分けるのは、「イスラム国」が明確に国家たらんとする意志をもっていることだ

終章 「アラブの春」の失敗と「イスラム国」の成功

ツイッターによるイランの「緑の革命」、フェイスブックによる「アラブの春」、ユーチューブによる「ウォール街を選挙せよ」そして香港の「雨傘革命」。これら社会変革の試みが必ずしも成功しなかった理由は何か?

解説 「過激テロ国家」という認識の思い込みの修正を迫る本 池上彰

内容説明

対テロファイナンス専門のエコノミストが放つまったく新しい角度からの「イスラム国」―。多頭型代理戦争の間隙をつき、領土をとり、いち早く経済的自立を達成した「イスラム国」は、テロリストがつくる史上初めての国家となるのか?

目次

中東の地図を塗り替える
序章 「決算報告書」を持つテロ組織
第1章 誰が「イスラム国」を始めたのか?
第2章 中東バトルロワイヤル
第3章 イスラエル建国と何が違うのか?
第4章 スーパーテロリストの捏造
第5章 建国というジハード
第6章 もともとは近代化をめざす思想だった
第7章 モンゴルに侵略された歴史を利用する
第8章 国家たらんとする意志
終章 「アラブの春」の失敗と「イスラム国」の成功

著者等紹介

ナポリオーニ,ロレッタ[ナポリオーニ,ロレッタ] [Napoleoni,Loretta]
1955年ローマ生まれ。アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で国際関係と経済学の修士号、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで哲学修士号を取得。ハンガリー国営銀行に就職、通貨フォリントの兌換通貨化を達成、そのスキームは、後にルーブルの兌換通貨化にも使われる。北欧諸国政府の対テロリズムのコンサルタントを務め、各国の元首脳が理事をつとめる民主主義のための国際組織「Club de Madrid」の対テロファイナンス会議の議長も務める

池上彰[イケガミアキラ]
1950年長野県生まれ。ジャーナリスト。慶應義塾大学卒業後、NHK入局。記者やキャスターを歴任し2005年に退職。2012年より東京工業大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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