トオリヌケ キンシ

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  • サイズ B6判/ページ数 254p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163901459
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

他人にはなかなかわからぬ困難を抱えた人々にも、ささやかな奇跡が起きる時がある。短編の名手・加納朋子が贈る六つの物語。

人生の途中、はからずも厄介ごとを抱えることになった人々。でも、「たとえ行き止まりの袋小路に見えたとしても。根気よく探せば、どこかへ抜け道があったりする。」(「トオリヌケ キンシ」より)他人にはなかなかわかってもらえない困難に直面した人々にも、思いもよらぬ奇跡が起きる時がある――。短編の名手・加納朋子が贈る六つの物語。
(収録作品)
高校に入ってから不登校・引きこもりになってしまったある少年。ある日彼の家に、一人の少女がやってきた。少女はかつて少年に助けてもらってもらったことがあるという――。『トオリヌケ キンシ』
「ある形」を見つけてしまう能力以外はごくごく平凡な女子高生。そのふしぎな力を生物の先生は「共感覚」と分析した……。『平穏で平凡で、幸運な人生』
やさしかった母がある日豹変、家の中でいじめられるようになってしまったタクミ。つらい日々の救いは、イマジナリーフレンド(想像のお友達)の存在だった。『空蝉』
人の顔が識別できない――「相貌失認」の「僕」は、高校入学を機にそのことをカミングアウトする。あろうことかその後「僕」はある女の子から「好きです」と告白される。不思議な始まりの恋の行方は? 『フー・アー・ユー』
長く連れ添った夫人を突然に亡くし、気落ちする亀井のおじいちゃん。家の中でひとりのはずが、ある日「座敷童がいる」と言い出した!『座敷童と兎と亀と』
前日に高熱を出して受験に失敗した「俺」は、ある場所に引きこもり、自分でコントロール可能な「明晰夢」を見る日々を過ごしている。そんな中で出会った女の子「ミナノ」、彼女は夢だったのか、それとも?『この出口の無い、閉ざされた部屋で』。

内容説明

最後にもう一つ、呪いをかけるね。『あなたのことが、大好きです』ひきこもった部屋で俺が聞いた彼女の告白は、「夢」なのだろうか。不平等で不合理に満ちた世界に訪れる、六つの奇跡の物語。

著者等紹介

加納朋子[カノウトモコ]
昭和41(1966)年、福岡県北九州市生まれ。文教大学女子短期大学部卒業後、化学メーカーに勤務。平成4年、「ななつのこ」で第3回鮎川哲也賞受賞。平成6年発表の短編「ガラスの麒麟」で、第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)受賞。平成7年に退社して作家専業となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

風眠

384
現実がどんなに困難でも、哀しみや欠損を抱えていても。それでも人は、希望というその先へと踏み出せる生命がある。物語の「起」と「結」がぐるりと反転するように変わり、あぁそうだったのか・・・と、じわっと眼の奥が滲むような読後感。ファンタジーのようでいて、ちゃんと現実とつながっている6篇の物語の中には、「私」という自分自身がどこかにいるようで、どの物語も心が痛くて、どの物語も愛おしい。不平等で不合理な世界でも「あなたの人生を、せいいっぱい生きて」と言い遺した少女の言葉は生命そのもの。心強く背中を押された気がした。2014/12/14

barabara

320
表題作が静かに心に残る。先日「無菌病棟」を読んだばかりで思うところはあったが、またこの様な加納節を読めた幸せ。完2014/11/01

いつでも母さん

316
場面緘黙症・共感覚・脳腫瘍後遺症・相貌失認と醜形恐怖症・脳梗塞後遺症の半側空間無視そして、悪夢障害の明晰夢・・の6作からなる短編集。面白かったと言っていいのか?だが加納さんの言葉で紡いでくれたんだよね。それぞれの作品に胸がチクっとさせられて読了。生きるって、辛いことが多くダメージを受けるけれど、だからその中でちょっとの幸せを感じられたら とてもとても嬉しいんだ。最後の作品の『最後の恋文』あなたは誰に残しますか?こんな『呪い』ならかけられても私は本望だよ。夢でも、あ・い・た・いよ私。2015/07/04

ダイ@2019.11.2~一時休止

314
短編集。相貌失認と座敷童の話が良かった。でも最後の話が訳わからんと思いながら読み進めて最後に涙させられるとは思わなかった。2014/11/04

*すずらん*

313
目が視えない人にホントの事が視える様に、耳が聴こえない人にホントの事が聴こえる様に、口がきけない人がホントの事を伝えてくれる様に…人間の可能性を信じさせてくれる作品でした。困難な中でも、神様は必ず私達に細やかなプレゼントを用意してくれています。開ける鍵はただ一つ。人が人を想う気持ち。だから一人では開けられない。貴方が必要。私も誰かのお手伝いができるかな?この作品は、闘病を潜り抜けてきた加納さんだからこそ描けた作品だと思います。トオリヌケキンシと言われても足を踏み出す様な強さが、加納さんに加わった気がします2014/10/21

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