炎を越えて―新宿西口バス放火事件後三十四年の軌跡

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炎を越えて―新宿西口バス放火事件後三十四年の軌跡

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  • サイズ B6判/ページ数 252p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163900926
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

出版社内容情報

一九八〇年、新宿西口バス放火事件で瀕死の大火傷に。輸血が元で肝臓ガンとなった今、加害者を、自分の心を「赦す」思索の旅を描く。

「私はなぜこの運命を背負ってしまったのか。」
全身熱傷からの生還。生と死を見つめた魂の手記!

1980年夏、新宿西口バス放火事件。死者6人の無差別犯罪に日本中が騒然とした。
著者は全身80パーセントの大火傷で、瀕死となった。
事件の陰には信じられないようなドラマが秘められていた。
報道カメラマンの兄が、妹が乗っているとは知らず、炎上するバスを撮影。明暗をわけた一枚の写真が兄妹の仲に陰を落とす。いつまでも「被害者」として過剰に接する母からの自立。そして、不倫の恋をしていた19歳年上の仕事仲間と結婚するも、夫はのちにレビー小体型認知症となり死去。
なにより凄まじいのは、著者は、放火事件の加害者M青年の不幸な生い立ちを知るにつれ、「自分もまた彼を加害者の側に追いやった人間のひとりではないか」と考え、刑務所で面会、文通をし、赦そうと試みたのだ。それによって自分も「被害者」の冠を外して歩みだせるのではないか――しかしそれもMの獄中自殺によって絶たれてしまう。
いったい自分の人生とは何だったのか。かくも過酷な運命を生き、死ぬことの意味は何なのか。
事件当時の輸血がもとでC型肝炎になり、肝臓がんを発症して余命宣告を受けた今、著者は、この生と死を納得するための思索の旅をふたたび始めた。
NHKスペシャル「聞いてほしい 心の叫びを~バス放火事件 被害者の34年」(2014年2月放映)に感動の声、続々! 石原慎太郎氏からの手紙も収録。

内容説明

1980年、新宿西口バス放火事件。死者6人の無差別犯罪に日本中が騒然となった。全身80パーセントの熱傷を負った著者は、獄中の「加害者」に面会を求める。そして、夫の認知症と死。一人きりになった著者に、肝臓がんで余命宣告。事件の輸血によるC型肝炎がもとだった―全身熱傷からの生還。生と死を見つめた魂の手記!

目次

第1章 炎(鎖鎌;加害者、Mさん;償い)
第2章 追憶(母;兄と妹)
第3章 甦生(加害者としての責任;「被害者」としての役割)

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

67
1980年に死者6名、重軽傷者22人を出した「新宿西口バス放火事件」。この事件の体験を綴った手記『生きてみたい、もう一度』が出版されたのは1983年。桃井かおり主演、恩地日出夫監督によって映画にもなっている。放浪者がバスの乗客にガソリンをばら撒き、そこに火を放ったバス炎上事件に、「東京は怖いところだな」と思った記憶がある。あれから34年、NHKのドキュメンタリー番組を機会に本書を著した著者。その半年後には亡くなっている。80%の全身熱傷で生死をさまよい、その治療に使用された輸血が原因で肝炎に罹り、最期は肝2017/02/22

らむり

47
バス放火事件で体の80%に火傷を負った著者の、被害者だからこその34年間の苦悩。とても重いです。2014/09/03

ナミのママ

30
ある時、いきなり無差別放火事件に巻き込まれる。奇跡の生還をしたものの、発熱や後遺症という体の痛みと、事件の怖さと世間の怖さという心の痛みを抱えて生き続けるという人生とはどういうものなのでしょう。出版社サイトには『心の傷のカサブタを剥いで考え続ける著者に圧倒されます』とありますが、私の感想もその一言です。何も言えないし、何も言いたくないと思いました。この本を読んで、著者は事件に巻き込まれなかったとして、こういうもののとらえ方をして、尖って生きていったのだろうかと、考えてしまいました。2014/09/01

今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン

3
被害者と加害者は傷のキャッチボール、というフレーズが読後思い浮かんだ。相手の傷が見えると、それは自分の傷となる。痛さの共有。共有が「赦す」に繋がる。2015/04/02

100名山

2
著者は物心ついた頃から文章を書くのが好きだったようです。 事件に遭遇してから本を出すようになり、本書が5~6冊目になります。 人に読まれることよりも、自分自身のために確かめるように綴られています。 事件の周辺にとどまらず、炎を越えることを刹那躊躇ったことから 自問自答が始まり、不倫、両親との軋轢、スクープ写真を撮った兄とのわだかまり 犯人との関係、周辺の人々と自分自身をも含めた本音と建前。 良く書き込まれています。 私はその不倫相手、荘六氏の言葉に胸を突かれました。 2014/09/05

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