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老いの入舞い―麹町常楽庵月並の記

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  • サイズ B6判/ページ数 269p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163900766
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

若き定町廻り同心の仁八郎は、上役の命で訪れた先で元大奥勤めの年齢不詳の庵主と出逢う。その周囲で次々に怪しい事件が起こり――。

【直木賞作家・松井今朝子の新感覚捕物帳スタート!】
北町奉行所の定町廻り新人同心・間宮仁八郎が、上役から命じられたのは、麹町の平河天神社の近くにある「常楽庵」なる庵を月に一、二度立ち寄ること。詳しい理由は聞かされぬものの、庵主は元大奥の女中でかなりの要職に就き、一筋縄ではいかない人物らしい。おそるおそる地元の御用聞きの文六と常楽庵を訪れた仁八郎だったが、かつて大奥で「滝山様」と呼ばれ、現在は比丘尼姿となっている年齢不詳の庵主の志乃は、案外に仁八郎を気に入ってくれた。しかし、個性的な女中たちの鷹揚な態度や行儀見習いの若い町娘たちのかしましさに居心地悪く、仁八郎自身はなるべく関わりあいになるのはよそうと決めた矢先、常楽庵に出入りしていた祝言間近の娘・ちせが「巳待ち」の夜に行方不明に。事件解決のため奔走する仁八郎だが、庵主が何か事情を知る模様で――(『巳待ちの春』)!?
ひとつめの事件に辟易した仁八郎だが、麹町界隈の見回りを受け持ってから、何か事が起きるたびに常楽庵が関わってくる。不審火で父を亡くしたと訴える娘・りつは常楽庵に行儀見習いに通っており(『怪火の始末』)、ある死骸を発見したのは常楽庵の女中・ゆい(『母親気質』)。挙句、奉公先から戻らなかった娘の水死体と赤坂田町の相対死となった男女の事件の真相を探るべく常楽庵の関係者たちはとんでもない行動に出て……(『老いの入舞』)。
知恵も胆力も底知れぬ元大奥の隠居と、若気ばかりはやるひよっこ同心の丁々発止のやりとりも楽しい謎解きは、新しい江戸の名コンビの誕生を予感させます。「入り舞い」とは舞い手が退場する寸前にもう一度舞台の真ん中に引き返して華やかに舞って見せるもの。それゆえ年寄りが最後に花を咲かせる姿は「老いの入舞い」と呼ばれるが、志乃の活躍は、まだまだ続きそうです。

内容説明

弁財天を祈った翌日、祝言間近の娘が消えた。賊は三百両の身代金を―。火事で不運に命を落とした嘉村屋惣兵衛。一人娘のりつは火付けが原因と訴える…。茶屋の看板娘が殺された。仁八郎は下手人を大店の息子と睨んで調べを進めたが…。お堀に浮かんだ娘の死体と、赤坂田町の男女の相対死に隠された共通項が?北町奉行所定町廻り、新米同心・間宮仁八郎の江戸麹町事件帖。

著者等紹介

松井今朝子[マツイケサコ]
1953年京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科演劇学修士課程修了。松竹株式会社に入社し、歌舞伎の企画・制作に携わる。退社後、武智鉄二氏に師事して歌舞伎の脚色・演出を手がける。その後作家に転身し、近世・近代の時代小説を相次いで発表している。『仲蔵狂乱』(講談社)で第八回時代小説大賞受賞。2007年『吉原手引草』(幻冬舎)で第百三十七回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤枝梅安

79
大奥を引退し、庵を結んだ「滝山」こと「志乃」。現在は麹町の常楽庵の主。新米同心・間宮仁八郎は上司から常楽庵に挨拶に出向くよう指示される。庵には主の他に二人の女性が暮らしており、さらに武家や町家の娘が庵主を慕って集まってくる。外にでることのない庵主が事件の謎解きをするという趣向。相対死に見せかけた殺人は他の小説で読んだばかりだが、この小説全体として、叙述の重複が抑制されていて、丁寧に読み進めないと細かな筋立てを見失うことになる。穏やかな外見の奥に鋭い感覚を持つ庵主は作者の分身とも言える。2014/07/13

万葉語り

39
初読みの作家さん。大奥勤めを引退した常楽庵の志乃様がかどわかしや殺しなどの捜査にその推理力を発揮する。ミスメイプルの様かと思いきや、町方の間宮仁八郎もびっくりの長刀の技まで披露する。続きもありそうな展開でした。2015/06/25

アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯

35
元大奥の「滝山様」の謎解きが冴える時代ミステリ。正義感の強い新米同心間宮仁八郎は、好奇心旺盛な滝山様に振り回されつつ事件を解決していく……。滝山様と仁八郎の関係(滝山は、誰と仁八郎が似ていると言ったのか?「あの子が……」とは?)が謎のまま終わってしまったということは、これはシリーズ化するということなのかしら。2015/02/25

onasu

32
華やかかりし舞いをもうひとさし。元は大奥の要職にあったという庵主の舞いは、終編で賊を相手の大立ち回り…。  北町奉行所で本勤並の定町廻り同心に昇格したばかりの間宮仁八郎。昇格の折、上役より月に一、二度立ち寄るよう伝えられた「常楽庵」。庵主のつぶやきで、端からその云われは伝わってくるが、前任も、てとこは…。  で、二人がコンビを組んでの捕物帖、て訳ではないけれど、仁八郎の扱う事件では、度々「常楽庵」に出くわし、頻々と門をくぐることに。  松井さんの醸し出す、埋み火を孕んだ、とでもいうような雰囲気がいい。2014/12/15

わんこのしっぽ

31
シリーズ2巻目が気になったので手に取った1巻目。読み始めは仁八郎も文六もパッとせず志乃に振り回されてる印象しか残らなかったけど、最終章でようやく盛り上がってきた。スッキリして2巻目突入します。2016/09/19

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