• ポイントキャンペーン

漁師の愛人

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 180p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163826004
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

妻子持ちとの恋愛の末、漁師町へ移住した紗枝。事実婚など理解されぬ古い町で「二号丸」が居場所を見つけるまでを描く表題作他四編。

〈驚愕しながら、あきれながら、時に笑いながら、何度でも思う。ここはどこ?〉
妻子持ちの音楽プロデューサー、長尾の愛人だった紗枝。会社の倒産ののち漁師への転身を決めた彼の郷里へ伴われ、移り住むことになったのだが、身内意識のつよい漁師町で「二号丸」と呼ばれていることを知ったのは、やって来て、たったの十日だった。「妻」から時折かかってくる長電話に、敵意にみちたまなざしを向ける海の女たち。潮の匂いと海上にたちこめる白い霧。いつまでも慣れることのできない生活でいちばんの喜びは、東京にいたころよりはるかに生き生きとしてみえる長尾の笑顔だったが、彼が漁師仲間の喜寿祝いで紗枝を紹介する、と急に言い出した――閉塞する状況を覆す、漁を生業とする男たちと女たちの日々の営みの力強さ、すこやかさ。圧倒的な生の力を内に秘めた「漁師の愛人」。
〈問題は、私たちが今、幸せであったらいけないと感じていることかもしれない〉
震災から一か月足らず。女三人でシェアハウスして暮らす毎日があの日から一変してしまった。藤子の恋人(カフェ経営者)は、炊き出しボランティアで各地をまわり、ほぼ音信不通。ヨッチは、彼氏がホテルから妻のもとに逃げ帰って以来、微妙な感じ。眞由に至っては、大地震の三日後にこの家を出て行ったきり、帰ってこない。雨もりの修理にたびたびきてくれる63歳の小西とのなにげない会話と、豚ひき肉の新メニュー作り、ビーズ細工のストラップ作りが、余震のさなかの藤子の毎日を支えていたのだが。2011年春の、東京のミクロな不幸と混乱を確かな筆致で描いた「あの日以後」。
その他に【プリン・シリーズ】三篇を所収。

内容説明

漁師になった長尾が属する海辺のコミュニティは、“愛人”を拒みつづける。採譜の仕事をしながら彼と暮らす紗江はそのままでかまわないと思っていたのだが―。“妻”と私と、ひとりの男の“回復”をめぐる物語。

著者等紹介

森絵都[モリエト]
1968年東京都生れ。早稲田大学卒業。1990年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。同作品で椋鳩十児童文学賞を受賞。『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞。『アーモンド入りチョコレートのワルツ』で路傍の石文学賞を、『つきのふね』で野間児童文芸賞を、『カラフル』で産経児童出版文化賞を受賞。『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞を受賞。2006年『風に舞いあがるビニールシート』で第一三五回直木賞を受賞。エッセイ、児童書、絵本など幅広く活躍する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 2件/全2件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

224
気がつけばなんと5年ぶりの森絵都さん作品でした。前に読んだのが『架空の~』だったのですが、さすがに5年も間があると、ある意味新鮮な感じで読み進めるコトができました。その歳月は気のせいか作風にも表れているように思え、自分の中で森さんはヤングアダルト(若年層)向けの作家さんのイメージがありましたが、本作はしっかりと落ち着いて、表題作はもちろん「あの日以降」はとても鮮烈で、短編で読むのが非常に残念と思えるくらい完成度の高い作品でした。もともと文章はキレイで読みやすい作品が多いので、また読み進めてみようかなと。 2014/10/26

風眠

169
東日本大震災のその後を描いた『あの日以降』、漁師になった男の愛人を描いた『漁師の愛人』という重量感のある中・短篇の間に挟まれる、『少年とプリン』『老人とアイロン』『ア・ラ・モード』というプリンにキレる男子をコミカルに描いたプリン短篇・三部作。この構成が見事で、一気に読まされてしまった。どれも別々の物語なのだけれど、人間の滑稽さや愛らしさが、ちょっと毒気のある感じで書かれているのがいい。中篇・短篇としての物語の切り取り方が絶妙で、誰もが持っている「譲れないもの」をさまざまな切り口で差し出してくる一冊。2014/05/03

いつでも母さん

149
読友さんのレビューに誘われて。タイトルにドキッ!短編集だが、どれも余韻が良い。心は深いな・・タイトル作は、閉塞感の漁師町で封建的な人間たち・・特に『おんな』の冷ややかな視線が刺さる感じが良い。戸籍上の妻と愛人とのやり取りが不快なのだが、夫を挟んでの微妙な三角関係が憎いな。この夫はズルい!妻が精神的に夫を捨てる言葉が効く!この男なら、タイトル通りにこの先も続くのだろうな。な~んて思ったりもした。2015/12/11

ハミング♪♪@LIVE ON LIVE

125
5話中3話(「少年とプリン」・「老人とアイロン」・「あの日以降」)既読。個人的に、「ア・ラ・モード」が一番ツボで、ウケた!!たった11ページの短編なのに、インパクトがハンパない!!!森さんのこういう発想力と表現方法が好き☆「漁師の愛人」は、若干ヘビーだったけど、光がないわけではないので、読後は悪くなかった。それにしても、全体的にプリンの登場率が高くないか?(笑 「森さん、プリン好きなんかな?」とか全然関係ないことを思って、笑った。装丁の色遣い、案外好きかも?深くて暗くて濃いけど、綺麗で光を感じさせる碧色。2014/02/16

マッツ

120
森絵都さん、初読みです。題名に惹かれて、借りて読んじゃいました。てっきり男世界の恋話かなって思ってたら、女性目線の短編集なんですね。短編集なんだけど、量が違って、読み込み方が、違った感じでした。プリン絡みの話で、暫く食べてないプリンの味を思いだしました。2014/06/15

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/7669035
  • ご注意事項