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カフカ式練習帳

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  • サイズ B6判/ページ数 397p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163813301
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

文豪カフカにならい記される小説の未刊の断片、数々の引用から紡ぎ出される思考の軌跡、そして作家の日常が絡まる、未知の小説世界。

内容説明

扉を開けると、小説、夢、会話、猫やカラス、雑多な抜き書き、廃屋、日記、宇宙論の断片があふれ出す。天窓の上を風が吹く。木の枝が揺れる。カラスが戦う。文学はこんなにも唐突だ。断片からなる長篇。

著者等紹介

保坂和志[ホサカカズシ]
1956年、山梨県生まれ。鎌倉で育つ。早稲田大学政経学部卒業。90年『プレーンソング』でデビュー。93年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、95年『この人の閾(いき)』で芥川賞、97年『季節の記憶』で平林たい子文学賞、谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

32
保坂和志の小説論やエッセイを読むと、彼が小説というものを実に広く/多彩に捉えていることがわかる。その多彩さはそのまま彼自身の繊細さや好奇心の旺盛さともリンクしてきて、貪欲に(だがしかし、決して下品/悪趣味になりすぎない形で)世界を楽しみたいという気持ちともつながりうるものなのだろう。『カフカ式練習帳』はそんな保坂の「面白がる」「楽しみたがる」やんちゃさが良くも悪くも実験的な領域へと至ってしまった1冊で、読み進めるにつれて(散漫な印象は否めないにしても)保坂のレアなエッセンスが楽しめるコアな作品だとも思った2023/09/16

踊る猫

22
どこを切っても保坂和志印の一冊であると言える。過剰な引用があり、カフカがいて猫がいる。そこはかとなくエッチでもあるし、思弁的な断章と活きのいい会話が同居している。カオス/アトランダムなようでありながらその保坂印でこちらを読ませる……と解釈してしまう私なのだけれど、それはもちろん保坂の持ち味を承知しているから。つまり、承知していない読者にはハードルが高く時間の無駄で終わる可能性は大いにある。そして、カタルシスを感じさせる類の読み物でもないために「オチは?」と苛立ってしまう向きもいるだろう。非常にクセのある本2022/11/17

多聞

19
保坂和志はデビュー作から一貫して読者に彼独自の世界の捉え方を提示してくれる作家の一人だ。今作は小説、日記、会話、夢、Wikipediaなどの引用や抜き書きの膨大な断片の集合体とも言うべきだろうか。断片で綴られた日常が、カフカの作品を彷彿とさせるあの不可思議なユーモアに満ちた世界と陸続きであることに興奮を抑えられそうにない。2012/07/18

galoisbaobab

12
題名に惹かれて読んでみた。あ、この本を楽しめる人と友達になりたい、と思わせる一冊だったな。ボクの人生になんらかの意味ある物語なんて存在しないし、断片的で中途半端で曖昧な記憶を過去側にたどって改変したり変形するとこんな感じになるな、、、と思いながら楽しみながら読み切ってしまった。ちょっと笑っちゃったのが「小説をきちんと読める編集者は、いや編集者にかぎらず世間一般的に、金勘定が下手だ。金勘定ができないから、代償行為として小説が読める?逆だ。小説が読めない人は金勘定しかすることがない。」だったな。2015/09/18

袖崎いたる

10
カフカの日記を真似て小説を試みる。「芸術に接するときに根拠を求めてはならない。根拠はそのつど自分で作り出すこと。社会で流通している妥当性を求めないこと。芸術から見放された人間がこの社会を作ったのだから、社会は芸術に対するルサンチマンに満ちている。彼らは自分が理解できないものを執拗に攻撃する。自分の直観だけを信じること。」(369)と、まぁこんな感じ。2020/03/03

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