出版社内容情報
突然筆を折ったベストセラー作家・咲良怜花。執筆復活を願う編集者に対し怜花が告白した衝撃の物語。甘美で残酷な究極のラブストーリー。
内容説明
八年前に突然絶筆した作家・咲良怜花は、若い編集者の熱心な復活のアプローチに、自らの半生を語り始める。そこで明かされたのは、ある男性との凄絶な恋愛の顛末だった―。
著者等紹介
貫井徳郎[ヌクイトクロウ]
1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。93年、第四回鮎川哲也賞の最終候補作となった『慟哭』で作家デビュー。2010年『乱反射』で第六十三回日本推理作家協会賞、『後悔と真実の色』で第二十三回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
207
他の貫井小説同様で厚みの割にあっという間に読めた。面白かったのだけどあまり再読向きな話ではないかな。ミステリではないながら一発勝負な内容というのが理由。直木賞取っても納得、逃しても納得。2012/07/16
そのぼん
161
一人の女流作家の生涯を追っていく物語でした。波乱万丈という言葉がぴったりの女性でした。他の読者の方たちもおっしゃってますが、今までの貫井徳郎の作品とは一味違ったものとなっていました。読み始める前はおっかなびっくりでしたが、これはこれで面白かったです。2013/01/27
utinopoti27
151
本作は、平凡な女性だったヒロイン・和子の、ある男性との凄絶な恋愛に身を投じたことで始まる、波乱万丈の半生を綴る物語だ。いつものミステリ要素をあえて封印し、和子の独白形式で埋め尽くす趣向の長編は、自己実現と承認欲求を肥大化させる彼女の特異性を徹底的に曝け出してゆく。不実としか言いようのない男に依存し、本来の自分を目に見えない新月になぞらえ、彼の望む女になりきろうとする和子。自ら創り出した虚飾の世界に溺れた末に、彼女が悟った真実の残酷さに身震いが止まらない。貫井徳郎、まさに渾身の新境地がここにある。2019/11/08
くりきんとん99
130
ページ数、内容ともに久しぶりに読み応えのある一冊。1人の女性が1人の男性と一緒にいるために整形までして、まるきり違う人間になるという凄絶なストーリー。有名作家となり、そして筆を折るまでを男性編集者に打ち明けるこの物語、何となく直木賞を受賞した小池真理子の「恋」を思い出すなぁと思ってたら、直木賞の候補になった。2012/07/07
紫 綺
114
初貫井作品。愛憎が織り成す負の恋愛小説。人は、一人の人間にここまで左右されるものだろうか?小説家「咲良怜花」が全面整形してまで、得たかったものは得られたのか?人を愛し続けることの難しさを感じた分厚い一冊だった。2012/09/09