文学の徴候

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  • サイズ B6判/ページ数 358p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163664507
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0095

出版社内容情報

「ひきこもり」を専門とする精神科医が、日本を代表する作家達の作品を診断する。創造の源泉とは何か?画期的で超斬新な文芸評論。

内容説明

ひきこもり臨床医が日本文学の「いま」を精神分析!新しい世界の扉を開く二十章。

目次

境界例のドライブ―柳美里
ひきこもり文学は可能か―滝本竜彦/佐藤友哉
解離と関係をつなぐ「声」―赤坂真理
人格障害のリアリズム―舞城王太郎
エピファニー対アファニシス―中原昌也
ビート或いは詩への欲動―町田康
「ライ麦畑」の去勢のために―村上春樹
饒舌さと「ニヤニヤ笑い」―阿部和重
抵抗する猫システム―保坂和志
「天皇萌え」の倫理―島田雅彦
身体を回避する虚構―川上弘美
移行対象としての「おたく」―大塚英志
「怒り」の批評をめぐって―鎌田哲哉
増殖する欠損―小川洋子
妄想戦士ルサンチマン―笙野頼子
内因性の文学―古井由吉
外傷性の倫理―大西巨人
「私小説」と神経症―大江健三郎
中心気質者の倫理、或いは純粋寓話の起源―石原慎太郎
あとがきに代えて 私小説人格からヤンキー文学へ―村上龍/金原ひとみ/田口賢司

著者等紹介

斎藤環[サイトウタマキ]
1961年岩手県生まれ。筑波大学医学研究科博士課程修了。現在は爽風会佐々木病院に勤務。専門は思春期・青年期の精神病理学、病跡学、ラカンの精神分析、「ひきこもり」問題の治療・支援ならびに啓蒙活動
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

65
女性のセクシュアリティを「聴覚的」で「関係性」に主眼を持つ、という文脈でやおい(BL)を説明している。私はこの分野がわからない女性なのだけれど、わかったような、やっぱりわからないような。2018/04/25

ころこ

36
本書の特徴は、批評対象が作品ではなくて個人だということだ。著者は本業が精神科医で、本人は否定するが、どう見ても作家に対して精神分析を行っている。各章とも、作家や作品に一般的なイメージが述べられ、逆説的に精神分析的な著者の説が論じられる。まず、前者の俗説が参考になる。町田康の批評は文体しか論じないことや、島田雅彦の比喩や会話が出来損ないだということは他人から言語化されるだけで発見がある。後者に関しても精神分析的な「自分が患者であることに自覚的な患者」や「否認とは、否定の言葉でなにかをこうていすることだ」など2023/04/17

Z

7
ラカン派精神分析にのっとった病跡学。ラノベ系から大江健三郎、石原慎太郎といった大御所まで幅広く現代作家を解読。ラカン派らしく専門用語バシバシ出して来て優しい語り口の割に内容難しい。ラカン勉強してからまた読もうと思う。 2016/07/27

ひろゆき

2
精神分析などの知識を応用した作家論。私は読んでない作家がほとんどだが、それでも面白い。村上春樹、石原慎太郎の章が特に。村上春樹>>>>>>サリンジャー=太宰治という。「解離」については興味深く、付箋いっぱい。石原慎太郎というなんとなく困った老人の人間像が明確になった。2015/12/01

山野辺ワラビ

0
興味のある作家の章以外は飛ばし読みで読んだけど、面白かった。帯のアオリほど作家の精神分析はしていなかった印象だけど、専門医としての著者にしか書けない批評だと思う。個人的に著者はサブカル評論の印象が強かったけど、他の文芸時評も読んでみようと思った。あと、石原慎太郎作品を評価しているのが意外だった。2012/12/28

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