出版社内容情報
さりげない家族の風景や、ささやかな出来事から、心に沁みる情景をつぎつぎと紡ぎだしてゆく重松清の絶妙な語り口を味わう短篇8篇。
内容説明
小説はこんなにおもしろい。文学の入り口に立つ若い読者へ向けた自選アンソロジー。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963年、岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務を経て、フリーライターに。91年『ビフォア・ラン』で作家デビュー。99年『ナイフ』で第14回坪田譲治文学賞、『エイジ』で第12回山本周五郎賞受賞。2001年『ビタミンF』で第124回直木賞受賞。ルポルタージュ、時評、評論など小説以外のジャンルでの執筆活動も高い評価を受けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
らったった
113
久し振りの重松清。短編集。いつものスタンスで小学生位の子の純朴な気持ちが描かれています。最後のあとがきは、とても共感できました。僕も一年前から意識して本を読むようになったので。子供の頃から本を読んでいたら、今の自分にどんな影響を及ぼしてたんだろう。と今でも思います(*^^*)2013/05/17
優希
79
面白かったです。小学生の男の子たちが主人公の物語の数々。読んでいると、性別こそ違えど、身近に感じていたことも多々あり、懐かしい気持ちになりました。懐かしさで胸が締め付けられるような感覚といえるでしょう。2018/08/07
☆よいこ
62
YA。短編8つ[卒業ホームラン]野球チーム監督の父親視点。息子を試合に出したいが勝つために出せない。息子の胸中は[モッちん最後の日]両親の離婚で望月から山口に名字が変わる。中学入学から新しいあだ名にしたいので、最後に友達にモッちん最後の挨拶回り[ウサギの日々]中学サッカー部、先輩には絶対服従。下手な先輩に気を遣う[かたつむり疾走]父親がリストラされる。ホームレスのボブちゃんを笑う高校生[カレーライス]父親とケンカした小学5年生の少年[タオル]漁師の祖父の葬式[あいつの年賀状]ケンカ[ライギョ]▽既読あり2020/08/21
aiaimo`olelo
34
8編からなる短編集。重松さんの書く作品にはどこにでもいそうな庶民的な少年がたくさん出てくる。だからこそ、読み進めるうちにどっぷりと感情移入してしまう。重松さんは、青少年の心理描写をとても丁寧に描き出している。当たり前のことかもしれないが、男の子の心理は女の子のそれとは大きく異なる。不器用で、でも真っ直ぐで愛おしい。それは息子の中にもあるのだと改めて感じた。私はこの本に、数年後の十数年後の息子を見た。未来の息子を垣間見た。そして、なぜか涙が出そうになった。いつか未来の息子に再会する、その時を楽しみにしたい。2022/05/25
shiho♪
31
高学年図書室本。5年光村国語に掲載『カレーライス』も収録。全8編の短編集。 父親の目線で描かれた『卒業ホームラン』は息子が所属する野球部の監督としての苦悩がひしひしと伝わってくる。『モッちん最後の一日』は両親の離婚を機に姓が変わる望月くんのお話。馴染み深かったあだ名との別れ。友達もモッちんの気持ちに共感してくれるのがほっこりします。 小学校高学年~中学生向けでタイトル通り、重松作品がはじめて🔰でも読みやすい。ほんの僅かな感情の揺らぎも丁寧に書き上げている質の高い作品集です。2022/01/21