出版社内容情報
人生とはふいに吹く、風のようなものかもしれない…上質のユーモアをちりばめた温かい視線が心を打つ、人間通に贈る傑作エッセイ
内容説明
温かく、真摯に語る、小さな人間達の“ものがたり”。作家として医師として、人として書く、人間通のあなたへ贈る珠玉のエッセイ。
目次
1 ふいに吹く風(秋の怖さ;軽井沢の秋;雨ニモマケズ;人間深沢七郎―信州佐久にて;ありふれた花に想う;厄介な父と子 ほか)
2 ゆるやかな助走(稲を刈れ;なごり雪;紫陽花の咲く頃 ほか)
3 両輪で走る(医者として書く;もらいそこねた芥川賞;芥川賞の待ち方;小説を書く動機;ダイヤモンドダスト;淘汰される本 ほか)
4 医療の現場から(医者;別れる;泣く;難民キャンプの寸劇;医者になる動機 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
algon
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掌篇集であるので読む片っ端から忘れていく。しかし推敲を重ねて煮詰まった掌篇は思いのほか作者の世界に引きずり込む。陰々滅滅とした文もあるが周りの事象をぎりぎりまで反芻して顧みる自省感が例えようもなく清冽なのだ。誠実な姿勢のまま掌編を重ねた極上のエッセイ集だがしかし、過ぎた自省が間もなく著者を長く苦しめることになる大病を呼ぶことになる。この本はその直前のものか。記憶にとどめたい名文が普通に出てくるが残念ながら本を閉じるともう忘れ去る。買って手元に置こう。しかしこの著者、人間としてねじれているなぁとつくづく。2017/04/12