内容説明
2014年、中華人民共和国は民衆の不満に満ち満ちていた。混乱する政治、腐敗する役人、農村の困窮…。東西新聞社の北京支局特派員・田波は、出張から北京へ帰ってきた。しかし自宅にいるはずの中国人の妻・鳴風は失踪していた。不安なまま夜をすごした田波は他社の特派員から重慶で暴動が起きていることを知らされ、身分を偽って現地に赴く。市役所に立てこもる村民に武装警察は武力突入を敢行し、多くの死者が出た。その様子を記事にした田波に中国公安部の手が忍び寄る。さらには行方不明となった鳴風もまた反政府組織に関わっていることが判明する!中国各地で起きている暴動がやがて大きな奔流となって、新たな天安門事件に発展するまでを綿密に描き出した待望の近未来小説。
著者等紹介
水木楊[ミズキヨウ]
1937年、中国上海生まれ。自由学園最高学部卒業後、日本経済新聞社入社。ロンドン特派員、ワシントン支局長、外報部長、論説主幹等を経て、作家活動に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢の中のイーグルチャンス!
1
題材に惹かれてました。中国共産党の内実と日本の内実、双方とも人類が生きてゆく上での保守化する傾向は似たりよったりである。しかし近い将来、現実に起こり得ることなので、とても参考になった。2016/04/22
konaka
1
4/52014/01/01
こたちゅう
0
中国通が書く近未来小説。面白い。2008/08/14
mystery#01
0
記者である主人公田波は当初民衆弾圧の現場を押さえようとする。想定通り現場を見る事は出来たが、これをきっかけに反政府主義者、キリスト教徒、為政者側メンバー、離れていた中国人妻などが絡み合う複雑な関係に巻き込まれる。実際もこうであろうと思うが、この手の作品は共通点がある。正義を信じ無謀な行動をとる主人公、冷徹に判断し共産主義を守るため殺人も厭わない中国当局メンバー、欲望の為裏切り最後は殺される小市民。この作品で2017年に中国各地は独立していくが実際はそうなっていない。改めて天安門事件の意義を考察してみたい。2019/08/20