神かくし

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  • サイズ B6判/ページ数 194p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163208800
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

たとえば不思議な老姉妹についてキノコ採りに、急死した同級生の原稿に導かれて青春の町へ、あるいは故郷の廃屋、アユ釣りの川辺…再訪の地は温かく、やさしい。静かに身を委ねたい五篇。

著者等紹介

南木佳士[ナギケイシ]
昭和26(1951)年、群馬県に生れる。秋田大学医学部卒業。現在、長野県南佐久郡臼田町に住み、佐久総合病院に勤務、内科医長。56年、難民医療日本チームに加わり、タイ・カンボジア国境に赴く。同地で「破水」の第53回文学界新人賞受賞を知る。平成元年、「ダイヤモンドダスト」で第100回芥川賞受賞。着実な創作活動を続けている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

331
久々に南木文学の世界に浸る。収録されている5つの短篇も、いつものようにいずれも病を抱えながら、信州で勤務医を続ける作家の日常を綴ったもの。とはいえ、これらはやはり私小説ではない。南木に特有のフィクションの構え方なのだ。読者である私たちさえもがある種の安心感に包まれ、懐かしささえ覚えるのが南木の小説世界。そこにあるのが、身体感覚を持った確かさだからだろうか。そして、その背後にある「底知れぬ深さの夜空の入り口」が「生」の深淵と不確かさを垣間見せる。篇中であえて1篇を採るなら表題作、あるいは「火映」だろうか。2018/03/07

chimako

90
自身の心の病と折り合いをつけながら仕事をし里山での暮らしを編む主人公。夢なのか現なのか、儚さを含む空間が描かれる これは連作集なのだろうか。表題作「神かくし」では90歳を過ぎた姉妹にいざなわれるように茸狩りに出かけた主人公の1日が深い山の湿った空気を伴って描かれる。姉と妹は意味深な言葉を掛け合いながら山の奥に分け入る。姉は肺を病み心停止まで経験した主人公の患者。山のなかで食べた茸うどんのうまさに主人公自身が生きている実感を得たように感じた。他の4編も空気がぬけた紙風船のように頼りなく、しかし存在感がある。2016/08/24

みも

41
約40頁程度の5篇の短篇集。小説というより随想。全篇、鬱に苦しむ心痛がそこかしこに吐露され、滲み出すのは「生」の峻厳と幾度も襲い来る「死」の誘惑。その底無し沼の様な泥濘から極めて細かな宝石の欠片を丹念に拾い集め、懸命に形あるものに仕上げようともがく著者の甲斐甲斐しさが痛々しい。それはあたかも、沢山のおもちゃを前にして次から次へと興味の対象を変転させ、ひとところに思いを留め得ない幼児の様でもあるが、精神のぎりぎりの境界を彷徨する鬱屈を勘案すると、全体的に散漫なのは致し方あるまい。紡がれる言葉の美しさは健在。2018/04/05

そのぼん

15
なんで『神かくし』なんだろう…。 ちょっと評価しづらい作品でした。鬱々とした雰囲気でお話しが進む一方、風景の描写はきれいに描かれていました。2012/07/12

James Hayashi

7
非常に丁寧で静かな文体の中から、生きるという力強さを感じる。生死や病からは人間は逃れられないものであり、それは医者であり、作家である著者が表現しているものであろう。長野の山あいの風景と、素朴な描写が切ないというか、心に響いてくる短編集。10点満点中8点2013/09/23

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